栞織 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
BLの話だけど、原作通りだった
原作ははるか昔の連載中に全部読破しましたし、最終回には涙した者です。私は何を隠そう吉田秋生先生のファンの人間で、「カリフォルニア物語」はかなりの回数リピートして読んでいます。それに比べて「バナナ」はあまりそんなに読んでいなかったのですが、昔にあるニュース番組のOPにアッシュのアニメ動画が作られたと聞いただけで、それなりに期待していた原作全編のアニメ化ですから、期待するなという方が無理でした。それと言うのも、近年同作者の「YASHA」が実写ドラマ化された折に、原作からの大幅な改変がありましたので、果たして原作通りにやるのかという懸念が非常にありました。何よりも本作品はただのBLものではなくて、実際にアメリカで買春行為をしていたという話ですから、それが事実かどうかはさておき、本当に原作通りに描くのかという思いがありました。
そういうわけでかなり固唾をのんだ視聴になりましたが、あらすじや脚本はかなり原作通りだったと思います。そういう意味で、昔読んだファンの期待のニーズにこたえた作品だったと思います。ただ難点を言わせてもらえば、色指定が原作の世界観に即したものではなかったような気がしました。吉田先生はイラストは主に水彩やマーカーで彩色されますが、その、向こうの現代アート的な軽みが表現された色彩感覚ではなかったと思いました。一番残念だったのは、登場人物で重要なキャラの髪の毛が、「ハゲ」ではなかったことです。あれはどうして紫のトサカヘアーになったのでしょうか。おそらく爆風スランプの方がモデルと思われるあのキャラは、原作どおりのデザインにしてほしかったです。やはりキャラが違って見えていました。そういう原作との微妙な差異が気になったのは事実です。
ただ今言いましたように脚本は非常に丹念に原作をなぞっていて、不自然な部分が少なく満足のいくものでした。しかし最終回はもう少し盛り上げてもよかったのではという思いはありました。なにしろアッシュが死にますからね。「あしたのジョー」オマージュですから、「ジョー」ほどではないにせよ、そのような演出で盛り上げてほしかったです。あんまりにもあっさりと終わってしまい、余韻があまりありませんでした。まあBLものということで、製作側もあまり熱心ではなかったのかもしれません。しかし私も少しは腐要素のある人間ですので、この最終回は残念だったと記しておきます。
私の希望を言わせてもらえば、「YASHA」か「カリフォルニア物語」もアニメ化されたらなあと思いますが、どちらもアニメ化には難があり、無理なのだろうと思います。この「バナナフィッシュ」が今の世でアニメ化された事で、もう満足するべきなのだろうと思います。