Fanatic さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
単なる逆ハーに非ず。めざせ友情エンディング♡
SILVER LINK.制作、監督に井上圭介さん、キャラデザに大島美和さんは、本作の前年に放送された「みだらな青ちゃんは勉強ができない」と同じ布陣。
シリーズ構成・脚本は「エウレカセブン」や「一週間フレンズ。」の清水恵さんです。
悪役令嬢というワードがいまいちピンとこなくて、放送当時はスルーしてた作品です。
悪人が主人公の、いわゆるピカレスク系か、あるいはダークヒロイン系のイメージを持っていたんですが、本作はそのどちらでもありませんでした。
と言うか、悪役令嬢ですらなかったような?
主人公は公爵家の令嬢、カタリナ・クラエス。
ある日、彼女の前世は、事故で命を落としたオタク女子だったことに気づきます。
さらに、自分の暮らす世界が、前世でプレイしていた乙女ゲー『FORTUNE・LOVER』の中であり、自分はヒロインにいやがらせを行う悪役だったことも思い出すカタリナ。
いわゆる、視点を変えた異世界転生もの。
前世で『FORTUNE・LOVER』をやり込んでいたカタリナは、このままでは国外追放や死亡という破滅ルートしかないことに気づき、なんとかその運命を回避しようと奮闘する、というのが物語の軸となります。
本来であればカタリナが不利な状況に陥る選択とは別の行動をとっていくため、逆に周囲からの好感度はどんどん上昇していきます。
ただ、この作品の面白いところは、ここで単純に主人公SUGEEE状態になるのではなく、カタリナ自身は破滅回避にしか興味がないため、周囲からのプラス評価に鈍感という部分。
いわゆる〝難聴系〟主人公の構図なんですが、設定上、何もしなければ破滅ルートが決定しているという前提のため、説得性があり嫌味もありません。
また、カタリナに惹かれていくのが攻略対象の男性キャラだけでなく、本来はライバルであるはずの女性キャラも含まれているというのも面白いです。
男子も女子も、全員カタリナを好き好き状態になっていくんですが、いつまでたってもカタリナはそれに気づかず、悪役キャラから見ればベストルートである「友情エンディング」に向かってまっしぐら、というスタンス。
その気になれば誰とでも(百合も含めて?)ハッピーエンドを迎えられるのに、カタリナ自身は嫌われないだけで満足している構図が、滑稽でもあり、微笑ましくもあります。
重要な選択肢を迎えたときの脳内会議のシーンも面白いです。
さまざまなカタリナがいろいろな意見を述べますが、一貫してるのは破滅フラグ回避が目的であって、自分がハッピーエンドを向かえる為ではないということ。
打算的な行動だけでなく、前世の価値観に従った何気ない行動も、カタリナの好感度アップに繋がっていく部分も面白かったです。
例えば、万が一破滅しても生きていけるように畑作りを趣味にするのですが、それがきっかけで園芸好きのキャラから好かれたり……といった具合に。
泣けるシーンも、下手な感動系作品より多かったです。
何らかのトラウマや心の闇をかかえているキャラが多いのですが、カタリナのおかげでそこから解放され、最終的に心を通わせていく様子には毎回うるっとさせられました。
最近、涙腺がゆるくなったのか、何気ないヒロイン同士の友情シーンだけでもジーンとくるようになっちゃって……。
唯一気になったのは、キャラデザかなぁ(,Ծ‸Ծ,)ム~
作品には合っていたので、濃すぎない淡白な雰囲気は構わないんですが、せめて男子キャラはもうちょっと頑張ってもよかったような気も。
ニコルとか、すべての人が魅了される魅惑の伯爵という設定なのに「え?そうなの?」みたいな感じですし。
まあ、誰か特定のルートが存在するような話でもないので、あれはあれで良いのか?(ˊᗜˋ;)
単なる逆ハーものではないので、乙女ゲー物だと思って敬遠されている男の人でも十分に楽しめる作品だと思います。