Fanatic さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
アニメ版コンフィデンスマン。ノリと勢い重視のコンゲーム
監督は「君に届け」「鬼灯の冷徹」等の鏑木ひろさん。
シリーズ構成は、映画「コンフィデンスマンJP」の脚本も手がけられた古沢良太さん。
キャラデザは「エヴァンゲリオン」の貞本義行さんと、「鬼灯の冷徹」「魔法使いの嫁」等の加藤寛崇さん。
そして制作は、「進撃の巨人」「ヴィンランド・サガ」等のWIT STUDIO。
作画は基本的に良好なんですが、やや癖があります。
詐欺師という設定上、あえてそうしたのだとは思いますが、男性キャラのシニカルな笑顔がちょっと嫌味な感じがして、個人的にはあまり感情移入できませんでした。
女性キャラはとても可愛らしく描かれていたと思います。
また、背景も、綺麗といえば綺麗なんですが、輪郭をきっちりと描いた、わたせせいぞうさんのイラストのような描き方。
現実世界といより、イラストの世界に入り込んだような幻想的な空気感を醸し出しています。
スタイリッシュではありますが、非ファンタジー作品ですし、個人的にはもっと写実的なタッチの方が良かったんじゃないかなぁ、と思いました。
もう一つ気になったのは、主人公・枝村真人(以下、エダマメ)のしゃべり方。
英会話のシーンは字幕ではなく東北訛りのような日本語で喋っているんですが、「~しただ、~するだ」など、語尾を変えるだけの安易なキャラ付け。
エダマメの英語が訛っているという設定上の演出だと思うのですが、私も北陸出身なので、ネイティブではない方にこういう喋りをされると、なんとなく馬鹿にされているようで鼻につくんですよね……。
僅かならいいのですが、九割くらいはこの喋り方だったので。
英語の訛りが物語の中で重要な役割を果たしていたわけでもありませんし、設定だけ説明すればそれで事足りたんじゃないかなぁ、と思いました。
内容は、一言で言えば「詐欺師」のお話。
初話は、詐欺師のエダマメが外国人観光客からお金を騙し取ろうとする場面からスタート。
彼が中心となって知略を巡らせるようなストーリーかと思いましたが、実はその外国人観光客・ローランも、世界を股にかけるコンフィデンスマン(信用詐欺師)で、エダマメも彼に利用されて詐欺グループの手伝いをさせられていく、という流れ。
ローランやその仲間たちから見れば、エダマメなんて雑魚っぱちもいいところで、クレバープレーというよりは人情担当のような立ち位置に。
騙す側と言うよりは、視聴者と一緒にローランに手玉に取られる側の役所なので、もしかするとストレスが溜まる方もいるかもしれません。
基本的に、知略を尽くして綿密な計画を基に相手を嵌めていく……というよりも、偶然に頼った展開も多く、ノリと勢いでミッションをクリアしていく、スラップスティックに近い演出。
雰囲気としては、ルパン三世の詐欺師バージョン、と言った感じでしょうか。
ただし、あちらの場合は次元大介や石川五ェ門といった超人的なキャラクターを生かす意味でもケレン味のある演出が不可欠でしたが、本作の場合は、基本的に全員が常人の範囲内なので、同じノリで描いても大味に見えるだけという気も……。
頭脳戦によるコンゲームを求めていると、期待外れになると思います。
緻密な頭脳戦を期待していたので肩透かし感はありましたが、case2以降の、キャラクターの過去を絡めていく話は結構楽しめました。
特に、case3の、シンシアの過去と絡めた「Snow of London」は、感動的で秀逸なエピソードだったと思います。
個人的には、求めていた物とは違った感がありましたが、それでも最新話まで一気見できるクオリティはありました。
作り自体は丁寧なので、こういうクライムエンターテイメントなノリががイケる方は楽しめるんじゃないかと思います。