STONE さんの感想・評価

3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態：観終わった

とりあえずの簡単な感想

　原作は未読。
　当初はタイトルから「他人の彼女を借りる」という一種NTR要素を含む作品かと思っていたら、全然違ったw。

　主人公の木ノ下 和也だが、ネットの他者の感想などを見ると、「クズだの、情けないだの」と
相当叩かれていた感がある。
　個人的には作劇と割り切って俯瞰的に観る方なのでそれほど気にならなかったが、キャラに
共感を抱いて観るような人が不快感を持ってしまうのもまあ納得。
　あとこの手の恋愛ものはキャラの個として魅力だけでなく、二人の恋愛そのものに対する応援や
期待みたいなものが作品そのものの人気に繋がっていると思うのだが、主人公がこれだとその辺も
かなり損なわれてしまいそう。
　加えてストーリー上のヒロインが和也を好きになるという部分の説得力がなくなりそう。

　前述のネットの感想など見ると和也の叩かれっぷりに較べて、メインヒロインの水原 千鶴は
かなり好印象な感じ。ただ容姿や根本的性格はともかく、その行動などは個人的には変に映る。
　演技のためにレンタル彼女をやっているとのことだが、本人がレンタル彼女という仕事に誇りを
持っているのならともかく、金銭を得るのも演技の勉強もレンタル彼女でしかできないわけでも
ないのに、祖母に言えないという後ろめたさを持ちつつ、レンタル彼女を続けるという設定が
ピンと来なかった。
　主人公とヒロインの偽りの恋人関係を成立させつつ、原作の購読ターゲット層に対する配慮も
あるのか、千鶴のクリーンなイメージは保ちたいといった印象の設定で、どうも中途半端に
映ってしまう。
　個人的には「(事情はともあれ)お金が欲しくて風俗やってます」ぐらい攻めても良かったように
思えるけど。
　他も更科 るかの徐脈から来る恋愛設定などを始め、設定に関しては「話を動かすために無理して
理由を作ってみた」みたいなメタ的背景が感じられてしまう。なまじヒロインなどは個として、
魅力的だったりするので、余計に残念な感が。
　コメディでもドタバタ感が強いような作品だと、多少の無理な設定でも勢いで
持っていけたりするんだけど、本作はコメディと言いながら、基本的空気感は割と真面目な
感じなので、どうも無理が見えてしまう。

　恋愛ものに関して、くっつくまでの過程を長々と描いていく作品の場合、つかず離れずの状況を
どう面白く作るかがプロットの見せ所といった印象がある。
　本作の場合、主に外的要因よりキャラの行動で関係性が変化しており、それが顕著なのが
和也と千鶴。
　ただ、和也の性格や千鶴の設定が足を引っ張っているのか、話こそ動くが盛り上がり度に
欠ける印象。
　あとラブコメであるからには、やはりコメディとしての要素が欲しいのだが、和也の卑屈さや
ヒロイン達のシリアス要素が前に出すぎて、あまり楽しい空気感になってないように思える。

　正直、話作りはあまり上手くない印象だが、展開的にはまだ途中といった感じで、
「今後どうなるか？」といった興味はあるし、和也に続いて叩かれていた感のある七海 麻美の
態度の理由や、終盤に唐突に登場した桜沢 墨の今後のストーリーへの絡み方など、続きが
気になるところではある。

2020/11/18