タック二階堂 さんの感想・評価
4.3
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
確かに泣かされました。
詳細はテレビ版を観てください。
とにかく評判が良く、冒頭から泣かされっぱなしという感想を聞いて、これは劇場版でハネたのかなと思い、観に行くことにしました。
で、結論から言えば、確かに泣かされました。
とにかく圧巻の京アニ作画は、劇場版でさらにパワーアップ。YouTubeで冒頭10分を期間限定公開したものを観て、これは名作だと感じさせてくれ、期待のハードルを上げて上げて劇場へ。
ただ、うーん……。
ここからガッツリ、ネタバレしますので、未視聴の方は絶対に開かないでくださいね。
{netabare}
基本、今作は3つの流れがあります。
・テレビ版10話の亡くなった母親から毎年50年、手紙が届く娘の孫の話。
・死期が近い少年の依頼にヴァイオレットちゃんが応えて手紙を書く話。
・死んだと思っていたギルベルト少佐が生きていて、島に会いに行く話。
乱暴なことを言うと、あの孫娘のエピソード要りますか、あれ?
たぶん、最後に孫娘が島を訪れて、ヴァイオレット・エヴァーガーデンという伝説のドールが島にいて、切手のモチーフにもなったということを演出したかったんでしょうね。けど、それを数十年後の孫娘がストーリーテラー的に見せることで、時系列があっちこっちになり、ちょっとややこしい。
百歩譲って孫娘を出すにしても、最初と最後だけで良かった。中盤に、いきなり挿し込まれるから、唐突な感じがしました。そもそも、何十年も経っているのに、そこまで街並みとか住宅環境に変化がないから、時空が飛んでいるのかどうか分かりづらかったです。
死期の近い少年のエピソードですが、そりゃ泣かされますよね。泣きました。でも、今から泣かせますよー感が凄いというか……。ただ、気になるのは少年が死んだ後に両親と弟に渡された手紙。予約が3ヶ月先までいっぱいの人気ドールなんですよね、ヴァイオレットちゃんは。そのわりには、そんなに響かない手紙の内容で……。ここでブワッと泣くつもり満々だったのに、随分とまあ普通の手紙でね……。
そして少佐。そもそも、あの銃弾で生きてるのってあり得なくね? というのは置いておいて。生存確認がどうにも雑で……。あんな手紙の宛先の筆跡で、ギルベルトが書いたものだって分かるもんですかね? 何年経ってるか知らないけど、社長そんなに少佐の筆跡を覚えてたの?
そしてまあ、ギルベルトがヴァイオレットに、あんなに頑なに会わない理由がわからない。これが本当に何らかの事情で「会えない」なら分かるけど、結局は少佐のさじ加減なんだもん、会うか会わないかって。でも、大佐と海を見ながら話して、ヴァイオレットちゃんの手紙が届いて読んでるシーンは涙が流れましたよ。でもね、そこでテレビ版でも不評だったあれ……、
あーなたのー声がー、みーちしーるべー
ガクッとなりましたw
諦めたヴァイオレットちゃんは、街に戻る船に乗り込み、出航します。埠頭を離れていく船。追いかけるギルベルト。「ヴァイオレット!」
「はっ! 少佐!」
いやいや、そこまで声届く? そして飛び込むだろうな、ヴァイオレットちゃん。あー、やっぱり飛び込んだ。って、え? 海浅くね?w ていうか、少佐少佐言いながら号泣するヴァイオレットちゃんを少佐が抱きしめるまでが長い長い……。
{/netabare}
とまあ、随所にツッコミどころが満載で、結局はテレビ版のレビューで僕がタイトルにした「最高級の器に盛り付けた料理……でも味は……?」というのが劇場版でも同じだったなと。
ちゃんと泣けるし、ストーリーに破綻はないけれど、名作かと言われると疑問符が付きます。だって2時間の劇場版でも、こんだけ「ん?」って引っかかるんですから。ただ、あんなことがあって、それでもこれだけのクオリティの作品を公開した京都アニメーションには、惜しみない拍手を贈りたいと思います。