ぺー さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
祖母レイコが気になる
原作未読
2008年夏クールでの1期を皮切りに、「続」(2009冬第2期)→「参」(2011夏第3期)→「肆」(2012冬第4期)→「伍」(2016秋第5期)→「陸」(2017春第6期)とコンスタントに述べ6期。2018年には劇場版が公開されるなどの人気シリーズです。近年の5期6期は11話+OVA2話構成と安定供給のためのセールスを意識したスタイルでひとつの理想の型を築いてそうです。
「壱」「弐」「参」数えにいわゆる大字(だいじ)を用いてややこしいのはややこしいのもあるけど、新規参入にとって最も障壁となるのは
すご!6期までやってんのに今から億劫だわ
真っ先に思いつきそうです。ただしここはひとつお気になさらず。なにせ一話完結型ですから無駄に自ら敷居を高くしちゃう必要はありません。大河ドラマならまだしも「サザエさん」「ちびまる子ちゃん」を必死になって初回から観るぞと意気込まないのと一緒です。
1期完了時点でのレビューのため的外れかもしれませんが、第1期第1話でのルール説明さえおさえておけばそっから3期や5期とかに飛んじゃってもついていけそうな勢いです。
語りつくされてるでしょうからあまり言うことはありませんね。
一話完結型で6期まで続いてるわけです。“使いまわしのきく優秀なプロットである”と思われ、そこを発見した作者と強みを理解している製作スタッフの勝利と言える作品だよなぁという印象を持ちました。
鮮度はどんどん落ちてくでしょうが刺激を求めるタイプの作風ではないのでこのまま7期8期と続いていっても不思議ではありませんね。
敷居を上げないでトライ可能な気楽さと、一話完結で長続きしているプロットの優秀さをこれからの方の視聴トリガーにしてもらえれば充分。
それでは中身です。
霊感強く妖(あやかし)が見える夏目貴志(CV神谷浩史)を主人公に妖怪たちとの交流を描いた人情物。
お題の「友人帳」とは…早くに亡くなった祖母レイコが妖怪たちと交わした契りをまとめた帳票本のこと。レイコとの勝負に負けた妖怪はその名を書き留められ主従の関係になり効力はいまだ有効だと説明されます。
近所の神社でうっかり封印を解いてしまったニャンコ先生(CV井上和彦)と共に、友人帳に名前のあるつまり契約に縛られてる妖怪の名前を一体ずつ返し解放してあげることを決意。実践していきます。
この“解放してあげたい”を動力源にするのが良い。私なら「俺の友達!出てこいジ○ニャン」やって「チートアイテムゲットだぜー!」と我欲全開でしょう。貴志にはそれがなく視点はとことん優しい。
なかにはもちろん下衆なことを考える輩も登場するにはするけど、多くは長いこと契約に縛られ、囚われ、来ることない待ち人を待ってるような妖怪たちです。普通の虫や動物などから恨みつらみ悲しみによって妖怪化した者もいました。友人帳に名のある妖怪もそうでない妖怪もひっくるめてなにかしら傷を抱えた者たちが貴志たちを通り過ぎていきました。
縛りから解かれ満足して消えていく様は「Angelbeats」のよう
同情すべき事情があって化外に身を落とすは「鬼滅の刃」のよう
破天荒な婆さんと口数少ない孫の組み合わせは「色づく世界の明日から」を思わせる
階級差/種族差と埋めがたい壁に遮られた恋路は「ロミオとジュリエット」に代表される鉄板です
作品評価は様々でしょうが、いずれも“なんかいい感じの物語”たちです。あ、○○と似てるというのを言いたいわけではありません。
一話完結。キャラの深掘りはせず、それでいて琴線に引っかかりそうな要素を詰め込み走馬灯が流れるが如き風情の絵巻物でありました。
秋や冬よりも夏の別れはせつない記憶とともに。季節が巡る度に思いだしそうな良作です。自分はもっと起伏がほしかったかな。でもそうしちゃうと作品の良さを打消しちゃうからダメよね。
※余談
■ちょっとこれは良かったかも
普通の人には見えないものが見える。そのことで小さい頃から異常者扱いだった主人公。彼が感じてた疎外感と妖怪たちが抱える孤独とがどこかリンクしてるようなお話でした。分かち合えるものがあることは大きい。
{netabare}さらに同じ能力持ちでも妖怪への向きあい方が貴志と異なる名取周一(CV石田彰)と、見えないけど気配は感じ取れる貴志の同級生田沼要(CV堀江一眞)と各々スタンスが微妙に異なる脇役を添えたことで深みとコクが出ていた気がします。
例えば妖怪Aに対して貴志・周一・要ら違う立ち位置からの視点を入れることで多様性が生まれ、妖怪Aにいろいろなことをさせる尺を取らなくてもキャラ立ちさせてました。{/netabare}
■夏とうちなー
2000年代前半から中盤くらいまでやけに沖縄・奄美出身アーティストが元気だった気がします。私もこの時期よう遊びに行ってました。勢い余って三線買わなくてよかったです。
MONGOL800・ORANGE RANGE・HY・かりゆし58といったグループから、元ちとせ・夏川りみもこれくらいの時期。本作のED「夏夕空」の中孝介は奄美出身です。そして島唄には夏が似合うわけでございます。2期以降は違う人達みたいですけどドンピシャの配役だったと思います。
2008年の作品ですからこういうところにも懐かしさみたいなのがありますね。
■女性ファン多し!?
レビュアーさんでも実生活で出会う方々でもこの作品は女性にウケがいいのかなの実感があります。
少ない情報から多くを読み取れる能力で男性は女性に敵わないというのをなんかで読んだことがあります。いわゆる“オンナの感”はたゆまぬ観察力の賜物だとか。
この作品ってゲストキャラが次の回にはもうお別れしてるためご丁寧にキャラ回作ってる暇はNothingです。それこそ少ない情報量。もしかして私♂が見落としたエモさの欠片を集めてらっしゃるのかしら?
実際は男女比なんて関係ないんでしょうけどそんなくだらないことが一瞬脳をよぎりました。
視聴時期:2020年10月
-----
2020.11.14 初稿
2021.09.14 修正