Fanatic さんの感想・評価
2.8
物語 : 1.5
作画 : 4.5
声優 : 1.0
音楽 : 4.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
現在の基準で評価してはダメかもしれない……
最近、他の作品の感想欄で本作の名前を見かけたのがきっかけで「そういえばそんな作品があったなあ」と思い出し、あにこれでチェックしてみたらかなりの高評価!
気になって今更ながらに視聴してみました。
これまで細田監督の作品には触れる機会もなかったので、その意味でも楽しみだったんですが……。
正直、本作がどうしてこんなに高評価なのか、私には分かりませんでした。
ほんと、なぜなんだろう?
私の感性がずれている?
今から15年も前の映画なので作画は割り引いて観るつもりでしたが、そんな必要もないくらい普通に綺麗なアニメーションでした。
エヴァも手掛けた貞本義行さんデザインのキャラクターたちが生き生きと動き回る様は、今観ても普通に高評価です。
ただ、ストーリーは平凡で目新しさはありません。
主人公の真琴も、まるで少年漫画の主人公のような無思慮さで、私には魅力が感じられませんでした。
15年前はこれでも斬新だったのかな……。
もっとも、15年前の作品に対して物語の凡庸さを指摘しても大人気ないので、それは置いておくとして……。
時代に関係なくやっぱり受け入れられなかった点をいくつか。
まず、タイムリープに関する疑問。
タイムリープは意識だけ飛ぶ現象なのに、明らかに身体ごと飛んでますよね。
これは、タイムリープではなくタイムトラベルでは?
だとすると、戻った先には過去の自分がいることになりますから、タイムパラドクスを解消する何らかの説明が必要になると思うのですが……。
まあ、その都度、真琴の身体が転がるのは面白かったので、あくまでも現象はタイムリープで、そこにアニメ的な演出を加えたという解釈で納得することにします。
それよりも、さらにあれ?と思ったのは……。
{netabare}功介たちの命を救うために千昭が最後のタイプリープを使った際、真琴まで一緒に戻っていたことです。
千昭がタイムリープを使っても、時が戻るのはあくまでも千昭が移動した先の世界線だけで、残された真琴の世界線では彼女の怪我は治りませんし、功介たちの事故も無くならないはずです。
もし、タイムリープが複数人同時にも行えるという設定であったなら、それまで真琴一人しかタイムリープしていなかったことに対する説明が不足しています。
あそこで、周りの人間の動きが全部止まっていたのも、どういう現象なのかよく分かりません……。
科学考証をしっかり!とか、もっとリアリティを!と言ってるわけじゃありません。
フィクションにおけるリアリティとは、現実性ではなく説得性のことです。
もう少し、作品内で整合性がとれるような説明が欲しかったな、と思いました。{/netabare}
まあ、本作は細かく設定考証するような作品ではなく、あくまでも青春ドラマがメインテーマで、そこにSFちっくな味付けをしただけ……ということであれば、そんな所に突っ込むのは野暮なのかもしれませんね。
個人的にはモヤモヤしますが、タイムリープに関する疑問は演出上の理由ということでひとまず納得することにします。
次に、肝心要の青春ドラマに関してですが……。
CVが、壊滅的に酷くないですか?
これはもう、ドラマ以前の問題でした。
真琴役の仲里依紗さんも酷かったですが、千昭役の石田卓也さんはさらに輪をかけて酷い。
ラストの、恐らくは感動的になるはずのシーンでも、この二人の棒読みセリフのおかげでまったく刺さってきませんでした。
演技の上手な人が情感タップリに演じてくれたなら、ストーリーが少々凡庸でも、それなりに感情移入もできるし感動もできるものなんですが……。
昨今は、プロモーションの為に安易に俳優を起用するなど、作品の品質を下げるようなキャスティングには否定的な意見が多くなっています。
逆に言えば、15年前は、こういったキャスティングをしても当たり前のように受け入れられてた、ってことなのでしょうか?
当時のことは私もよく覚えてないので何とも言えませんが、もしそうであるなら、やはりこの作品は15年前に観るべきであって、今の基準で評価してはいけない作品ということになるのでしょうね……。
主題歌の「ガーネット」だけは、多くの方が書かれている通り、透明感のあるとても良い曲でした。