Fanatic さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
面白かったけれど、ちょっと勿体無い(。-`ω-)
キービジュアルなどで癖のあるキャラデザが気になっていてスルーしていた作品ですが、観始めれば特に違和感なし。
キャラクターの雰囲気や、子供が被験者となる設定、幼い頃に出会った二人が再会して心を通わせていくシナリオなど、同じくTRIGGERが制作した「ダーリン・イン・ザ・フランキス」と、非常によく似ています。
脚本は岡田麿里さん。
説明不要かと思いますが、「あの花」や「ここ叫」などの原作・脚本を手掛けられた方で、群像劇を得意とされているイメージが強いです。
パラレルワールドの架空都市・洲籠(すごもり)市が舞台。
近未来……と言ってもいいような舞台設定ですが、子供を被験者として扱うことが許容される社会というのが現実世界の倫理観とあまりにもかけ離れているので、平行世界の出来事として観た方がすんなりと受け入れられそうです。
七つの大罪に準えて集められたメンバー。
設定はありがちだなぁ……と思いましたが、「独善ウザ」「脳筋DQN」「不思議メンヘラ」など、新たに定められた大罪(というか、ただの欠点ですが笑)のネーミングは面白かったです。
内容は、端的に言うと〝痛み〟を分け合う共感実験(キズナシステム)に強制参加させられた少年少女たちの群像劇。
最初にメンバーに課されたミッションは〝自己紹介〟でしたが、単なる自己紹介ではなく、自分が一番他人に知られたくないことを発表するというもの。
由多の〝昔太ってた〟とか、どうでもええやん!
……とは思いましたが、キャラクターのメンタリティを抉っていくような、こういう展開は好きです。
最初は物理的な痛みのみ共感していたメンバーでしたが、様々なミッションをクリアしていくうちに感情までシンクロするようになり、ついには、考えていることまで部分的に通じ合うようになっていきます。
恋愛要素が余計だったという意見も見かけますが、思春期の少年少女が感情を揺り動かされる代表的な事象として、やっぱり恋愛は外せないでしょう。
異性を好きになることで、自分ではコントロールできない感情が臨界点にまで達して溢れ出たからこそ、最大の山場である9話――皆の心が壊れかけた嵐のシーンに繋がっていったのだと思います。
主要キャラが八人もいた上に1クールという制限もあったせいか、全体的に駆け足感は拭えませんが、この辺りまではとても楽しんで視聴できました。
残念だったのはその後の展開。
{netabare}
せっかく、〝思春期におけるシンクロニシティ〟という、いくらでも美味しく料理できそうな素材を扱いながら、キャラ同士の関係性も希薄で、ラストは主人公とヒロインのラブストーリーに拘泥してしまった感が否めません。
簡単に言えば、テーマの割りに幕引きが陳腐な印象。
ドMの自傷キャラ日染も上手く機能していたとは思えませんし、山田がどうしてあんなにヘイトを集めるような描写をされたのかも謎。
少し前にみた「ココロコネクト」という作品も本作と同じようなテーマを扱っていましたが、あちらは主要キャラ4人で十七話という構成もあり、互いの心を曝け出され戸惑う高校生たちの丁寧な心情描写は、とても見応えがありました。
「あの花」でもそこそこの人数を扱いながら上手くイベント管理していた印象ですが、あちらはテーマが絞られていたのに対し、本作は友情か恋愛かでテーマがブレていた上に、非人道的な実験の顛末と言うそこそこ重いサブテーマもあったりして、全体的にシナリオが散らかってしまった気がします。
主要キャラを、せめて四~五人に絞れば、もっと濃厚な人間ドラマを見せることができたんじゃないでしょうか。
(そうなると七つの大罪は使えないけど笑)
また、人との「絆」や「繋がり」を偏重する演出も、やや暑苦しく、陳腐に感じました。
手を繋ぐ絆だけでなく、互いを信じ、背中を押してあげるような〝手を解く絆〟というものも存在するはずです。
多様性のある価値観に響く内容にしてもらえたら、もっと心に残る、大人の視聴にも耐え得る作品になったんじゃないかなぁ、と思いました。
{/netabare}
これでも悪くはないし、つまらなくもないんです。
次々とページを捲らせるブリッジ(引き)の構築も上手くできていたと思います。
ただ、岡田麿里さん脚本ということで、どうしても一段上のクオリティを期待してしまいますよね。
脚本は頑張っていたけれど、そもそも原案に無理があったという感じかな?
(まあ、原作も岡田さんなんですが……)
各キャラの掘り起こしや風呂敷の畳み方に物足りなさを感じてしまって、面白かったと言うよりは、勿体無いなぁと感じてしまった作品でした。