pascalia さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:今観てる
"モノローグ"が素晴らしく哲学的な問いを感じさせる傑作
最初に観たときの衝撃はすごかった。モノローグが素晴らしい。
安達としまむら2視点のモノローグを巧みに使っている。
特にしまむらのモノローグが本当に素晴らしい!
ものすごく自然でリアリティがあってすごく共感できて,それでいて哲学的な問いを感じさせる...
自分が高校生の時に感じた「自分以外の他者との距離の取り方に対する問い」そのものが,ものすごく的確に言語化されている。
アニメーションの演出も素晴らしく,背景の架空の海や雪や宇宙の演出も,原作小説の素晴らしい独白をさらに素晴らしいものにしている。
この話は,内向的な安達と社交的なしまむらの話ではない!
しまむらこそ,他者と一定の距離をとっておきたい。一人は退屈だけど,人と接して疲弊して自分をすり減らしていくのもしんどい...。
そんなしまむらの気持ちが痛いほど分かる。
高校生ぐらいの年になって,自然と自分を外から見てみようとする。それまで考えもしなかったけど,よく見ると自分は「独り」だ。「孤独」だ。そのことに一瞬おののく。辺りを見回す。みんな「独り」なんだ。
「孤独」は退屈だ。誤魔化していたい。でも,どんな距離を取るのが正解なんだろう。
この作品は,そんな正解のない問いに対して,薄っぺらな"道徳的"な答えを用意せずに,どんな結果も弱くやさしい肯定で包み込む。
だから,安達が社交的になってたくさんの友達に囲まれてめでたしめでたしとはならず,安達はますますしまむらに傾いていく。でもそれでいいんだ。
この作品の本質的なテーマは恋愛という限定的なものではなくて,もっと包括的で全人的な人と人とのつながりの難しさや危うさにあるような気がします。
映像面では,とろけそうな柔らかな色彩が素晴らしく,オープニングもすごく良いなと思いました。
きっと私の中で歴代アニメの中でもトップクラスの作品になると思います。
これから辛いことや悩むことがあれば,
{netabare}
なんだばしゃぁぁぁぁ
{/netabare}
と叫びましょう