Fanatic さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
君は、何本のタバコを受け取った?
アニメ制作はマッドハウス。
監督は「ワンパンマン」や「ブギーポップは笑わない」の夏目真悟さん。
上記二作と同様、本作でも絵コンテ・演出も夏目監督自ら手掛けられています。
物語の舞台は、かつて一斉クーデターが勃発し、現在は13の自治区から構成されている架空の国、ドーワー王国。
ACCA(アッカ)とは、クーデター後に創設された国家行政機関で、王国内の警察、消防、医療機関などを傘下に置いています。
各自治区のACCA支部の業務が適正に遂行されているかを監視しているのが、観察課と呼ばれる部署です。
主人公のジーン・オータスは、そんな監察課の副課長。
この世界のタバコには高額課税が課されていて、本来なら安月給のACCA局員が簡単に入手できるものではないですが、人からたばこを贈られることが多く〝もらいタバコのジーン〟というあだ名がつけられています。
レビュータイトルにも付けましたが、このタバコが、物語のマクガフィンの一つとなっています。
喫煙シーンがとても多いので、喫煙者に目くじらを立てちゃうくらい嫌煙家の方は視聴を控えた方がいいでしょう。
内容は、王位継承権やクーデター、エネルギー政策と言うきな臭いワードを巡って繰り広げられる政局サスペンス、という感じかな?
監査のために全自治区を回るジーンが、さまざまな人物と出会い、徐々に大きな政局の渦の中に巻き込まれていく……といったストーリーです。
テーマの割には、全体的には明るい雰囲気で、重苦しさというのはほとんど感じられません。観やすくはありますが、反面、緊張感はあまり感じられず。
コミカルではありませんが、かといってシリアスというほどでもなく、飄々としたスタイリッシュな空気感。
特に派手な立ち回りやバトルもなく、主人公のジーンも、多少洞察力に優れている程度の一般的な公務員。
そんなわけで、絵面はとにかく地味です。
いろいろな立場の人物がいろいろな場所で重要な会話をしているシーンが多く、会話の中にも人物名がバンバン出てきます。
しかも、それによって物語もどんどん進んでいくので、大量の登場人物の顔と名前を正確に把握しながら視聴していかないと、途端においてけぼりを食ってしまうでしょう。
ながら視聴とかは、厳禁です、絶対!
『月刊ビッグガンガン』にて連載されていたオノ・ナツメさんの漫画が原作です。
大人向けの内容で、派手さは一切ありません。
最後のどんでん返しは、散りばめられたヒントを丁寧に拾っていければそれほど意外な幕引きではありませんが、それよりも、初話からの伏線が12話をかけて、適材適所で回収されていく構成は見事の一言。
観る人を選びそうな作品なので、おすすめですか?と聞かれれば、う~ん……という感じですが、観始めれば一気に完走させられるパワーもあるのは確か。
少なくとも個人的にはとても楽しめました。
この後、早速OVAの方も視聴してみます♪