Fanatic さんの感想・評価
3.0
物語 : 4.0
作画 : 1.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
意外とハードSF。人間ドラマは薄味
あにこれのレビューで見つけて、気になって視聴。
主人公の女子高生・森田ゆかりが、失踪した父親を探しに単身ソロモン諸島を訪れたり、物語の舞台となるソロモン宇宙基地から逃げだしたテストパイロット・安川に対して、いきなりロケットランチャーが撃ち込まれたり……。
そもそも、たまたま島を訪れたJK(ゆかり)に、宇宙飛行士のアルバイトを頼んだりとか!
のっけからハチャメチャ(死語?)な展開。
良く言えばスピーディー、悪く言えば荒唐無稽?
宇宙ものアニメと聞いて「プラネテス」や「宇宙兄弟」を、あるいは、少し似たプロットの「宇宙よりも遠い場所」(目的地は南極ですが)あたりの真面目な雰囲気を想像していたので、のっけから面食らってしまいました。
端的に言うと、ギャグアニメのノリですね。
別にギャグアニメが嫌いなわけじゃないですが、それを求めて視聴を始めたわけじゃないので不安になります。
……が、ミッションシーンになると内容は一変。
明るい雰囲気は保ちながらも、すごく本格的なハードSF作品に早変わり。
専門用語テンコ盛りの講義や、逆ポーランド演算用の計算機、スキンタイトタイプの宇宙服(実際、2007年にMITで開発中だと発表、2014年にはESAが無重力実験を開始)など、それっぽい小道具が次々と登場。
パイロットを女子高生にするのも、低コストのロケットで打ち上げるために体重の軽いパイロットが必要だったから。
基地がソロモン諸島にあるのも、打ち上げ時に遠心力を稼いで大きな推進力を得ることと、静止軌道に移す制御エネルギーを節約するため。
設定の根幹となる部分は、きちんと理由付けが成されていています。
コテコテの文系の私にはググッた程度の知識しか知り得ませんが、科学考証という部分では冒頭で挙げた「プラネテス」や「宇宙兄弟」以上の拘りを感じました。
もちろんフィクションですから、中には現実離れした内容も含まれているかもしれませんが(打ち上げの度に気絶するあかねとか笑)、エンタメ作品内における説得性という意味では十分な内容だったと思います。
本作で最も見せたい部分は、当然、SF部分なんでしょう。
日常パートは、ミッションパートを繋げるために肉付けされているだけで、あえてギャグっぽいノリにして展開を早めているのではないかと感じました。
あれなら、準備期間二日で有人打ち上げ、なんて展開も許せちゃいますからね。
おかげでテンポはものすごく早くなっている分、人間関係や成長物語という点ではかなり薄味なので、人間ドラマを期待して観ると物足りなく感じると思います。
なお、キャラデザはけっこう可愛いと思いますが、作画に関しては2013年の作品ということを加味しても物足りないかな……。
中盤以降、特に7話辺りでは作画の乱れが目立ちます。
終盤はまた持ち直しますが、それでも当時の他作と比べると、クオリティは平均以下でしょう。
見れないほどではないと思いますが、作画重視の方には厳しいかもしれません。
ギャグっぽいノリの日常パートと、しっかりと科学考証されたハードSFのメリハリがよく効いていて、私は中弛みもほとんど感じることなく完走できました。
あまりハードルをあげずに、気軽に見るには十分アリかな?