セシウス さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
防災教育で見せたい作品(但しハンカチ必須)
東京湾北部地震という名前の大地震が起こった東京で、たまたまお台場に来ていた中1と小3の姉弟が成城学園にある自宅に頑張って帰るお話です。お台場~成城学園は20kmくらいでしょうか。間には海もあるし倒壊した高速道路などもあって平坦な道のりではありません。火災や余震による建造物の崩壊などがリアルに描写されています。人々はパニックなど起こさず粛々と避難や救出活動などを行っていて、震災を体験した人にはこれまたリアルに感じると思います。
主人公の中1女子は思春期真っ盛りの反抗期で弟の小3男子は幼児に毛が生えた程度の無垢な「お利口さん」です。この2人だけではとても家には帰れませんが、偶然出会ったシングルマザーの女性と3人で家に向かうことになります。
当初めいっぱい攻撃的な態度だった主人公は、家への帰途に様々な経験をして人間的に成長していきます。非日常の世界を背景に少女の成長と家族の大切さを直球で描いたストーリーは心をぐっと揺り動かしてきます。
作画はやや粗く、キャラクターデザインも平凡で役所の作ったアニメのようにも感じましたが、廃墟や怪我人・死者が多く描写されるので粗くてよかったのかもしれません。
メインキャラ3人は本当にキャラがたっていて、それを演じた声優さんたちもそれぞれ素晴らしく、とくに主人公の演技には何度も泣かされました。サブキャラに「ちょっと違うだろ」という声もありましたが。
音楽は良いです。特にエンディング曲はスナップ写真と共に流れるメロディーが心に残ります。
私は東日本大震災で被災しましたが、脅威に感じた順に並べると
津波>>>>断水>停電>液状化>>>>建物倒壊=火災
という感じでしたが、東京で巨大地震があった場合は建物倒壊と火災も危険なんだなと改めて思いました。
とにかくリアルな非日常の世界を味わいたい人ととにかく泣きたい人にはおすすめの作品です。