ねっち さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
それでも彼女は生きてゆく
元々2016年にあった「この世界の片隅に」にリンさんとのエピソードを増量した作品。この作品より面白い作品があるなら教えてほしいです。やはりというかまるで他作品とは違う。本当に次元が違う。広島に住むすずさんという普通の女性がおくる普通の日常の断片を描いた作品です。ただ、彼女が生きた時代は戦争があった時代。そんな中、最初は戦争の嫌な面をこの作品は一切見せません。すずさんが嫁いでいき、新しい環境に苦労しながらも徐々に打ち解けていき、本当に一人の女性の一生の断片を覗いているような、そんな感覚になります。この作品ほどキャラが生きているという言葉が似合う作品も無いと思います。この作品の好きなシーンの一つに、すずさんが絵を描いているのを軍人さんに見つかってしまい、スパイと疑われるというシーンがあります。あれは本当に笑えた。そんな中、戦争というものが徐々に徐々に色を濃くしていきます。やがて空襲もくるようになり、ただどこか現実感がない、やや危機感が抜けているような、そんな感じになります。そして、お父さんの見舞いに行った帰り、時限爆弾に当たり、晴美さんとすずさんの右腕を亡くしてしまいます。それからは広島と長崎に原爆が落ち、日本が敗戦します。驚いたのは、すずさんが戦争に負けてしまい、それを悔しがるところです。戦争というものは当時は当然のことのようにあり、一種の思想というものが根付いていたんだと思いました。しかし絶望を生きる最中、最後に希望を見せてこの物語は終わります。いいえ、続いていきます。これは片隅でしかないのです。最後の女の子に径子さんが晴美さんの服を着せてあげたシーンは思わず泣いてしまいました。泣かずにすむのなら泣かずに見たい、隅々まで見たい作品なのですが僕にはこの作品を見るのに向いていないのかもしれません。頭の整理がついていないので変なことを書いていたら申し訳ありません。
100/100点