tag さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
Real unreality(リアルを感じさせる非現実感)
Steins'Gateで、この世界に戻って以来、”課題”物語として位置づけながら、何故か、手が遠のく、そんな物語でした。脚本、ストーリー構成を手掛ける虚淵先生、少し苦手です、どうも勝手な妄想が先行していました。単なる絶望の物語を超え、歴史を巻き込み、救いとは何か?ハッピーエンドの定義に踏み込む傑作と言えるかもしれません。
さて、物語は現実ではありません、ですが、非現実的な物語を描けばエンタテイメントとしては興覚め。そこにはUnreal reality(非現実的な現実感)が必要です。現実に”根ざす”からこそ、感動や驚き、そして救いや願望、夢を託せるのです。
虚淵先生は、観衆のUnreal realityを逆説的に表現するのがもしかしたら彼の主題なのかもと思ったりします。物語は、逆説的かつ絶望的に展開します。画風とは真逆であるため、観衆は惑います。更に、虚淵先生はそこで止まりません。
Fate Zeroでもそうでした。彼は、RealなUnrealityを突きつける。絶望を直視させ、でも、これで大団円だよね?と。
そう、Steins'Geteの苦悩も物語に終盤組み込まれます。最終話に向け、10話と11話は、観衆に、一気に状況を理解させ、最終話に向けた状況を作り出します。あざとい演出と言えばそうでしょう。伏線は張ってありますが、よほど天邪鬼でない限り見えません。だからこそ、11,12話のコペルニクス展開は観衆に驚きを十分に供給します。
虚淵先生の作品を見ると分かるのですが、彼は絶望だけを観衆に提供しません。ハッピーエンドではないかもしれないけど、「救い」「願い」を”逆説的”に残します。今回もそれを確認できました。この物語をダークファンタジーと識別するのは理解できるのですが、この物語は、決して「ダーク」ではありません。
RealなUnrealityと言う表題はある意味逆説的で、観衆としては、中々つらいものがあります。ですが、この物語は、そうであることを肯定しつつ、私以外の潜在的観衆に観て頂きたいと思わざるを得ない物語ではないかと思います。