Fanatic さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
現代版、ローマの休日
制作は動画工房、監督:山崎みつえさん、脚本:中村能子さん、キャラデザ:谷口淳一郎さんの組み合わせは、「月刊少女野崎くん」と全く一緒。
あっさりした絵柄なので少し抜いた感じの作画に見えますが、丁寧に作られていると思います。
コメディ寄りの野崎くんと比べるとやや落ち着いたラブストーリーですが、ストレスフリーで変な引っかかりもなく、サラサラと物語が進んでいく感じは似ていると思います。
プロットは、一言で言うと現代版のローマの休日、といった感じでしょうか。
ヒロインのテレサは、見聞を広める為に留学生として日本にやってきた、ヨーロッパの架空の国ラルセンブルク(モデルはルクセンブルクだそうです)の王女です。
身分を隠したまま写真部に入部して活動していくうちに、同じ写真部員の多田くんこと光良に少しずつ惹かれていき、そして光良の方も……という内容。
登場人物は全員善良なので、人間関係でとくにストレスになるような場面はありませんでした。
ただ、おっぱいおっぱいと連呼する杉本部長や、光良の親友でガヤ担当(?)の伊集院が、煩くて個人的にはちょっと苦手でした。
あそこまでわざとらしく喚き立てる必要があったのかな?
ギャグ作品ならともかく、本作ではちょっと浮いていた気がします。
{netabare}余談ですが、光良がレイチェルからもらったパーティーの招待状を、伊集院が川に落としてしまうシーンは必要?
しかもそのあと、川に入って必死で招待状を追いかける光良を手伝いもしないし……。
「何やってんだよ伊集院!」と、思わず心の中で叫んじゃいました(ˊᗜˋ;)
あと、全員善人なのはいいのですが、シャルルはちょっと良い人過ぎる気も(笑)
テレサの許婚という設定ですが、登場時からテレサの本心(自分が心から愛されているわけではないということ)に気がついている節があり、さらには、光良に惹かれていくテレサの気持ちも察して自ら身を引いていきます。
光良のライバルキャラという立ち位置でありながら、あまりにも主人公にとって都合が良すぎる立ち回りで、ラストを見るまでもなくハッピーエンドを確信しながら視聴してました。
ストレスフリーで楽しめるというコンセプトも悪いわけじゃないですが、一応、最終話まで結末は分からない作りですし、もうちょっとハラハラさせても良かったのでは?(ˊᗜˋ;)
もうひとつ、杉本部長&日向子。光良の妹ゆい&写真部一年の山下。シャルル&テレサの付き人のアレク……など、サブカプ候補はかなり多いのですが、本編中ではどれ一つまともに進展しません。
尺の都合で光良とテレサに絞らざるを得なかったのだとは思いますが、せめてアレクくらいはラストでもう少し進展を見せて欲しかった!
テレサの許婚であるシャルルに惹かれながらも、立場上、それを表に出さずにずっと葛藤し続けていた彼女の存在は、ふわふわとした本作の空気を引き締める役割を担っていたように思います。
個人的には一番好きなキャラだったので、是非幸せになってほしいです。
……と、物足りなかった点をいくつか挙げましたが、全体的には十分に楽しめるラブコメ作品だったと思います。
光良が、叶わぬ恋だと覚悟を決めながらも、帰国したテレサを追いかけて想いを伝えるシーンにはジーンとさせられました。{/netabare}
視聴後感も爽やかでしたし、身分違いのラブストーリーをストレスフリーで楽しみたい方にはおすすめです♪