Fanatic さんの感想・評価
2.2
物語 : 1.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 2.0
キャラ : 1.0
状態:観終わった
主人公の裏の顔が下衆すぎる……
監督は「バクマン」「となりの吸血鬼さん」等の秋田谷典昭さん。
脚本・構成は原作者の駱駝さん。
キャラデザは「デスマーチから始まる異世界狂想曲」と同じ滝本祥子さん。
制作は「川柳少女」「デスマーチから始まる異世界狂想曲」等のCONNECT。
WEBでコミカライズの一話だけを読んで、先が気になり視聴。
いきなり、そこそこ重要そうなヒロイン二人(ひまわり、コスモス)からの告白イベントを迎える主人公ジョーロ!
……と思いきや、二人から打ち明けられたのは、ジョーロの親友であるサンちゃんへの恋心。
二人からサンちゃんとの橋渡しを頼まれて意気消沈するジョーロでしたが、ダメだった方を自分がゲットすればいいやと考え直し、二人に協力することに。
そんなジョーロへ、今度こそ好きだと告白してきたのは、以前から毛嫌いしていた地味な図書委員、パンジーこと三色院菫子だった……というのが序盤の展開。
いきなり、ヒロイン二人から他の男子との恋の相談を受ける辺り、普通のラブコメと差別化できるよう、だいぶ捻ってきてるなぁと興味を惹かれました。
さらには、親友のサンちゃんや、自分を好きだったはずのパンジーにも裏切られ……という辺りまでは、かなり楽しんで視聴させてもらいました。
ところが、その一件が片付くと、なぜか次々とジョーロになびき始めるヒロインたち。
ジョーロを逆境に追いやった張本人のサンちゃんとも仲直りをしたまではいいですが、その後は、ジョーロをちやほやするヒロイン達に混じってヘラヘラと行動を共にするようになるサンちゃん。
「この人、何考えてるんだろ?」と首を捻らざるを得ませんでした。
とにかく、出てくるキャラクターほぼ全員が、作者の踏ませたいイベントに沿って動かされているような立ち回り。
この場面なら、この立場の人はきっとこんな気持ちだろう、こう考えるだろう……という考証がまったく成されていないように思います。
各キャラの行動理由に一貫性がなく、悪い意味で意表を突かれる連続でした。
主人公のジョーロも、表と裏の違いが激しい二面性のあるキャラとして描かれています。
自分の為に頑張っているようで、実は他人の為に一生懸命な主人公像、というのを描きたいのは分かるのですが、とにかく裏の顔がゲスすぎて全く感情移入できません。
逆境の時にはメソメソしているくせに、都合が悪くなるとすぐにヒロインをアバズレだのビッチだのテメェ呼ばわり。
ゲインロス効果を狙った演出でしょうが、表面的なギャップは心の中にブレない信念があってこそポジティブに働くもの。
本作のジョーロの場合は、単なる多重人格の精神破綻者にしか見えません。
登場人物で唯一まともなのはパンジーくらいじゃないでしょうか?
彼女のおかげで、なんとか完走できたようなものです。
ちなみに、本編12話だけでは完結せず、OVA「俺達のゲームセット」が実質的な最終話となってます。
こちらで、本編のモヤモヤを多少は払拭した感はあるものの、ジョーロとホースの勝負では、お互いに卑怯な手段を使ってのドロ試合で、どちらにもまったく感情移入できません。
ラストのタイトル回収だけは「そうきたか!」と、ちょっと笑っちゃいましたけどw
豪華な声優陣やベンチの小道具、ハーレム展開に整合性を持たせるための特異点の設定など、良い部分もあるのですが、それ以上に、操り人形のようなキャラクター達に終始モヤモヤさせられる内容でした。
原作者が脚本も手がけたようですが、本作を観る限りでは完全に失敗しているように思います。