ウェスタンガール さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
少佐…、少佐…、少佐…、
ビクトリア風のチュールスカート、その裾を軽く持ち上げ、ヒールブーツの片足を後ろに引き、口上を述べる刹那、一筋の風が亜麻色の髪を揺らす。
「お客様がお望みならどこでも駆けつけます。自動手記人形サービス、 ヴァイオレット・エヴァーガーデンです」
なんとエレガントなカーデシーであろうか。
出合う相手はことごとく、一目で心奪われるのである。
この一連の流れは、歌舞伎で言えば見得であり、絶対外してはならない。
マスクをしていなければ、大向こうから掛け声をかけたところだ。
「ヴァイレットちゃん!」では冴えないかな。
止めは、皮手袋を外した時に目にするメカニカルな義手である。
彼女の透き通るような白い素肌とのコントラスト。
その鈍く光るガンメタリックに気圧されながらも、一人前のタイプができるのかと不安に感じる相手に一言。
「問題ありません」
ノックアウトである。
ちなみに、最後まで「ヴァイオレットちゃん」で通したクラウディア・ホッジンズに、神推しを貫く“ヲタ”の矜持を感じたのは私だけだろうか。
{netabare}最後まで“愛してる”の一言を言うことが出来なかったヴァイオレット、いや、敢えて言わせなかった京アニの演出に、そのプラトニックを貫く姿勢に拍手を送りたい。{/netabare}
鼻水とマスクで息が詰まったのである。
(蛇足)
{netabare}忠犬バイレット
木戸を跨いで敷地を走れば、大好きな少佐に会えるはず…、なのに“Stay!”。
聞こえてくる音がが「ワン、ワン」である哀しさである。
そんな中、子供たちに相手をしてもらい喜ぶバイオレットが可愛い。
丘を駆け下る少佐!
船のディーゼルエンジンの騒音の狭間から愛しい人の声を聴き分ける聴覚の鋭さといったら。
もしかすると、風に乗って臭いを感じたか?
そして、ためらいもなく甲板からジャンプ!
ラッシーやリンチンチンも真っ青だ。{/netabare}