薄雪草 さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
啖呵無双のカルテット
「ざけんなよ!!」 その啖呵の切りよう!
「ざまーみろ!!」 その見栄の張りよう!
そんな無双を、ついつい言ってみたくなりました。
そんな旅路に、いついつ行ってみたくなりました。
~ ~ ~ ~
ちょっとやそっとでは言えそうもありません。
なまなかな気持ちで口にできるものではありません。
その雄たけびはシラセの証です。
カルテットでオーロラを見上げた証です。
いったいこの先、どれほどの輝きを放つ光になっていくのでしょう。
"よりもい" は、そんな結晶を重ねあわせる旅なのですね。
~ ~ ~ ~
"宇宙よりも遠い場所" って南極のことでしょ?
当たり前にそうかもしれません。
でも、当たり前でないしがらみを、当たり前のように抱えている彼女たち。
どうやら、それぞれの身の檻と、心の澱にあるみたいです。
胸のつかえだったり
心のわだかまりだったり
もっていき場のない腹立ちだったりとか。
言葉に充てられない物憂いだったり
態度に表わせられない憤懣だったり
恥ずかしさに消え入りそうな居心地の悪さだったりとか。
この旅は、そんな自分の生命のさまを見直し、見定めるための "青春譜" なのかもしれません。
他者とのありようを見初め、本来の "しがらみ" の意味を、教えてくれているのかもしれません。
それぞれの気持ちにボーダーラインは付きものだから
その都度に真新しいターニングポイントをしつらえる
自らのスタンスを定立させながら、他者のポリシーとも紡ぎ合わせていく。
それをやりこなしてきた彼女たち
だから「また、旅に出る」のでしょうね。
~ ~ ~ ~
「ざまーみろっ!!!」
旅の歓びは、いつしか共感に結束したのです。
(ずいぶん呵(わら)われてきたけれど、今の私たちの生きざまをみろ!できるものならやってみろ!と堂々と胸をはるのです。)
「ざけんなよっ!!!」
旅での信頼は、ゆるがぬ友情に収束するのです。
(信義に唾吐く行為をしながら、今さらなんの見栄えを厚顔に重ねて話せるものかと、しつこく絡まる痰を切りたい思いなのです。)
自分の色あいを求めて、他者の色味も受け止めて、真っ新なキャンバスに見たこともない風景を描き出す。
気取りない心地よさを手に入れ、確かに踏み残してきた足あとを、満天の星空にオーロラが祝してくれる。
旅の終わりにキマリが宣言します。
「私たちは、私たちになったんだよ!」
そう切られた啖呵が、"よりもい" の結語なのです。
{netabare}
極北への旅も切り出しかねないキマリの無双。
ボケと突っ込みの性格よろしく、両極点への旅三度。
ベッドでクルリと反転すれば、上を下への花ざかり。
いよいよ、よりもいの先への "気っぷ" を手に入れた気分、というわけですね。♡
{/netabare}