Fanatic さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
原作の面白さを忠実に映像化!
制作はA-1 Pictures。
監督と脚本は、「昭和元禄落語心中」でコンビを組んだ畠山守さん(監督)と中西やすひろさん(脚本)。キャラクターデザインの八尋裕子さんも、「グランクレスト戦記」で畠山監督とコンビを組んでいた方です。
原作既読。
個人的にはストライクど真ん中のラブコメ作品です。
主人公は、生徒会メンバーである四宮かぐや(副会長)と白銀御行(生徒会長)。
惹かれ合ってるくせに高すぎるプライドが邪魔をして素直になれない二人なんですが、ただ単に自意識が高いだけでなく、それぞれに弱味もあって、そこがすごく人間味があって好感が持てます。
最初は、高飛車で傲岸不遜にも見える二人ですが、かぐやは箱入りで世間知らずだったり、成績こそ学年トップの御行も勉強以外はポンコツだったりと、かなり弱点も持ってます。
時折見せる優しさなど、お互いに根は良いところもあり、憎めないキャラとなっています。
こんな二人が、相手から先に告白さようと頭脳戦を繰り広げる、というのが基本的な流れになりますが、この作品の素晴らしさは脇を固めるキャラがものすごく機能していること。
個人的に、主人公以上に重要キャラだと思っているのが、書記の藤原千花。
空気を読まない天然キャラで、かぐやと御行の頭脳戦をいつも無意識にひっかき回します。
彼女が変数となることでかぐやと御行も想定外の対応を迫られることが多く、地味になりがちな基本プロットに躍動感を与えています。
また、天然なだけでなく、テーブルゲームに関しては腹黒い一面を見せたり、御行のポンコツぶりを見ておかしな母性を発揮したり、困っている人を見るのが好きだったりと、まさに八面六臂の活躍。
展開に詰まった時の千花頼み……と思っているかどうかは分かりませんが、主人公の二人以上に、物語を動かすパワーを持ったキャラクターです。
次に重要なのは、キャラクターではないですが、青山穣さんが担当するナレーション。
かぐやと御行の心理戦パートでは、当然二人のモノローグが多くなりますが、それだけでは補えないクレバープレー&心理状態の実況を青山さんが熱弁。
立木文彦さんを髣髴とさせるそのナレーションは、さながら〝恋愛版カイジ〟といった印象。
セリフの内容は原作とほぼ一緒なので、元々作者の赤坂アカさんもカイジの心理戦の雰囲気を意識して漫画を描かれていたのではないかと思ってます。
さらに、かぐやや千花の人間性を上手く引き出して掘り下げる〝正論で殴るDV男〟石上優(会計)や、かぐやの恋愛ポンコツぶりに呆れながらも、彼女の恋を応援している早坂愛(かぐやの付き人)など、脇を固めるキャラクターたちが、適材適所できっちりと良い仕事をしています。
内容は、いくつかカットされていたり、順番が入れ替わったりしている部分もありますが、ほぼ原作準拠。
かぐや役の古賀葵さん(「慎重勇者のエルル」など)や、御行役の古川慎さん(「転スラ」のベニマル)、千花役の小原好美さん(「まちカドまぞく」のシャミ子)など、CVも原作のイメージ通り。
漫画の面白さを忠実に再現できているアニメ化だと思います。
基本的にはコメディ中心で進んでいきますが、ちょいちょい感動系の話もあり。
一期のクライマックスは、原作の中でも有数の神エピソードである花火イベント(第五巻)。
ハードルを上げたくはないですが、絶対泣きますわ、あんなの……。
青年誌連載で原作者も男性ですが、女性でも十分に楽しめる内容だと思います♪