退会済のユーザー さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
🎖ドタバタ青春グラフィティの傑作
「それが言えたら苦労はせんのだ」
アニメを見て初めて原作が欲しくなりました。
初めて日本語ラップの曲を好きになりました。
完走後即2週目突入。現在3周目。
私にはこれくらいインパクトのある作品でした。
原作少年はチャンピオン。
絵柄はどうしてもバタ臭い。キャラデザインや造形は現在主流の深夜ラノベアニメの文法を全く無視しています。二昔前の作品かのような古臭い印象を受けキャラ萌え重視の方には厳しいでしょう。展開も少年誌向けの王道。演出もエログロもない変顔や鼻血ブー程度の健全さ。誰も死なないし病気にもならないし制作時原作途中なのでくっつきもしません。しかしヤンキー御用達雑誌の残り香か、ドタバタコメディと言えど会話の空気感にはリアリティがあります。
「実は私は」
吸血鬼や宇宙人などの各ヒロインは身バレのペナルティに窮屈な学園生活を送っています。このタイトルフレーズはカミングアウトの様ですが、実際にはほぼ自爆でバレてしまうという顛末です。そしてこのタイトルはダブルミーニング、各キャラクターの抱えた想いを表すものでもあります。もちろん少年誌ラブコメなので主人公黒峰朝陽(くろみね あさひ)に対し複数の女性キャラが好意を寄せるという展開になりますが、このあたりにも全く嫌味がありません。
ラブコメはいかにして自分の想いを遂げるか?がメインになりますが、本作は全く違います。主人公朝陽は常に相手の事情を最優先します。降りかかる難題に躊躇する場面もありますが、そこで彼に回避の選択肢は毛頭無いのです。考える時間はうまくやれるかという成功率や周囲のダメージ計算など全て相手の為に使われます。
思春期の男子なら誰もが嫌がるであろう恥をかいたり泥をかぶるなどの行為、朝陽はもちろん最初はウダウダと拒否しますが、それで相手を助けられると分かった瞬間、目の色を変え即行動に移します。
はっきり言ってこんなにカッコいいラブコメ主人公は見たことがないです。いや、あんまりラブコメみてないんですけどね。朝陽同様他人の為に動ける各ヒロインもカッコいいですよ。葉子(メインヒロイン)が一番ポンコツかな。
第2話、自己の弱点を理解し記憶を消す事を選択した朝陽。
二人で共有した時間や関係も失うことに何の躊躇もなく
自分の都合は一切なく葉子の願いの為だけに秘密を守ろうとした。
私はその後も何度も泣かされました。
不幸な出来事や悲しい運命などではなく彼らの優しさにです。
人を思いやるとはどういうことかが良くわかる傑作だと思います。