退会済のユーザー さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
人間社会
無限のリヴァイアス
このアニメは、本当に人間ドラマを描いたアニメだった。このアニメは、宇宙の中に遭難してその中で集団生活を営むという内容だったが、四人のリーダーが出てきて船内の運営が何度も政権交代するという内容だった。
まず最初に驚いたのが、このアニメの犯罪描写の多さである。普通であれば、こんなに犯罪描写が多いと思われないが、このアニメでは殴ったり、蹴ったり、侮辱したりという描写が精密に描写されている。
これは遭難したら無法地帯に陥ることを示しているのだろうが、法の支配が届かない場所で何を行うかということが非常に上手い人間ドラマを生み出しており、よかったです。
主人公の弟と主人公が最初は仲が悪かったが、最後の最後で主人公を殺そうとするおぜを食い止めるというところも良かった。
この作品では最初に追い出されたリーダーが無能で使い物にならなかったが、次に就任したリーダーはとても独裁的で、知識層の反感を買ってしまい最終的には政権交代が起こってしまう。そのあとのリーダーは優しく戦時に向いていなかったために、最終的には主人公の友人であるおぜにリーダーが移ってしまう。
まず最初のリーダーは、情報を内部で隠してしまい、隠滅耐性でそもそも論としてリーダーに向いていなかった。
次のリーダーは、過激ですぐに敵と出くわした時に武力行使を唱え、力で部下を押さえつけて、恐怖政治を敷くリーダーだった。ただ、祭りなどは大規模にやり、遊ぶ時は自由に遊ばせるリーダーだった。
その次は、部下に対して優しく、優柔不断で、とても人望があるが、決断力に乏しく、重要な場面で失敗してしまい、結果的には交代してしまう。
その結果として、次のリーダーになったのがおぜである。おぜは、船内から犯罪を無くそうと、犯罪を犯せば厳罰を与えるといい、次々に犯罪率を低下させていった。しかし、そのあまりに厳しいやり方によって、一部の少数者は追い詰められていく。例えば、能力によって区画を分けるというところである。能力によって区画を分けて、犯罪率を低下させる。そして気に入らない人間の能力を敢えて下げて、偽造の能力表を作り、下のランクに邪魔ものを入れるというやり方だ。
これによって、もともと政権側だった主人公や元リーダーたちは追い詰められ、徹底的な迫害を受けることになる。
このリーダーの変わり方が非常に面白く、視聴しててああなるほどなあと頷いてしまった。
特に最後のおぜが悪役になったのは、本当の悪は他人のミスを許容できない奴だと言わんばかりの表現だった。おぜが犯罪を取り締まろうとすると、悪口を言ったくらいで怒られるはおかしいと言ったり、ちゃんと並べてなかったら厳しく叱られるのはおかしいなどと不満が出てくる。主人公の主張である誰でも犯罪というのはするものだし、些細なミスで攻めるのはおかしいという主張は、作者の言わんとするところを表現している気がした。
おぜはとにかく他者に対して厳しすぎるのである。どんな些細なルール違反を許さない。そしてこの物語では、おぜは最初はおとなしかったが、最後は自分に逆らうものを銃で殺そうとした。
作者は多分、独裁者を表現したかったのだろう。それに対して主人公は立ち向かい、救助が来るところで、おぜを説得しようとする。そこで救助が来て話が終了する。
ここまでの流れはまさに、人が社会から切り離されるとこのように独裁社会が築かれ、そして歴史が紡がれるということを見事に表現した作品だったと思う。
この作品の見所は、まさにこのドロドロとした人間関係であり、孤立した船内で描かれた人間社会のあり方なのだと思った。