「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編(アニメ映画)」

総合得点
85.1
感想・評価
582
棚に入れた
2505
ランキング
254
★★★★★ 4.1 (582)
物語
3.9
作画
4.4
声優
4.1
音楽
4.1
キャラ
4.0

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ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

澄み切った鬼殺隊の心境に胸を打たれる感動作

引き続き原作未読のまま劇場より“乗車”

【物語 5.0点】
王道テーマの直球勝負にさらに磨きがかかる。

過酷な現実からも逃げずに立ち向かうということ。
弱きを助け強きを挫く。才能は世のため人のために使うということ。
良心が残っているなら罪人こそむしろ救済する。
想いは受け継がれるということ。

改めて強調された家族愛だけでなく、
ぶつけてくる他のメッセージもまた、
これまでTVアニメ版でも貫かれ、
他作品でも幾度となく繰り返されて来た普遍的なもの。

けどそれらを臆面も無く主張できるだけの
熱い心を持った鬼殺隊の生き様もあって、
鑑賞後はまるで何か高尚な法話に心を矯正されたような
清々しい脱力感を覚えました。



煉獄さんが本作の柱に間違いありませんが、
私は他の人間たちの描写も心に刺さりました。
具体的には、{netabare}自分の弱さに負け、鬼の陰謀に加担してしまった人々。
中でも{netabare}肺結核の苦しみから解放する夢を与えるとの甘言に負けた人間。
私自身がかつて小児喘息により、
呼吸できない絶望感で現世を儚む原体験があっただけに、{/netabare}
その過ちと救済には共感できました。{/netabare}


また、アクションのメッカ・列車が舞台とのことで、
その部分にも期待して乗り込んだ私。
ただ本作は熱血バトルアニメとしてはAAA級ですが、
真面目な列車アクション映画としての観点のみから見ると、
斜め上から思いも寄らないB級ホラー設定が降ってくる感じw
{netabare}鬼関車・エンム?……気色悪かったですw{/netabare}


【作画 4.5点】
アニメーション制作・ufotable

低年齢層の動員も見込める作品でありながら、
PG12指定のグロにも踏み込んだ本作。

特にラストの戦いなどは、表現自粛したら
伝達力が半減しかねないので、英断だったと思います。


ufotableと言えばアニメ版『Fate~』シリーズをまず思い出しますが、
本作でも継続した外崎 春雄監督と、
キャラデザ・総作画監督・松島 晃氏のタッグ体制という意味では、
アニメ版『テイルズ~』シリーズの系譜も思い起こされます。

劇場版でも披露されたリアルに描写された繊細な天候、空模様。
その中で繰り出される属性が明快に表現された技の美しさ。
本作は彼らが追求して来た剣と魔法バトルの到達点でもあると思います。


あとは、炭治郎の無意識領域。
人の心の中に、土足で踏み込むのを勧めるのもなんですがw
あれは、多くの人々に訪れて欲しい境地です。


【キャラ 4.5点】
炭治郎の優しさ。煉獄さんの男気。
軸となる二人の周辺で、伊之助と善逸が、
列車内でも夢の中でも相変わらずアホの子で、
極限状況下で息継ぎできるオアシスとなりますw

ただ伊之助については、
バトルでは野生児ならではの意外性で魅せてくれますし、
何より、アホの子ならではのギャグも絡めた涙腺攻撃にはヤラれました。
笑い泣きは私の涙腺ガードをホロリと崩す必殺パターン。
今回、私の敢闘賞は伊之助です。


完全な勧善懲悪というわけではなく、
鬼にも事情があるのが特徴の本シリーズですが、
本作の鬼に関しては無惨の血も濃いからなのか、
そういう鬼の成り下がり方もあるのかと思いつつも、
情状酌量の余地はあまり感じられませんでした。
これなら迷いなく首を斬り落しに行けます。


【声優 4.5点】
それほど口達者ではない鬼殺隊の面々。
よって本劇場版でも感情を直接ぶつける爆発的演技の連続となる。


対する下弦の鬼・魘夢(えんむ)役の平川 大輔さん。
自己の計略への寒々しい陶酔ボイスで、
炭治郎役の花江 夏樹さんの怒声と対を成す好ヒールぶり。


禰豆子(ねずこ)役の鬼頭 明里さん。
リアルでは概ね「ムー!」で押す妹役ですが、
夢の中ならあんな禰豆子や、こんな{netabare}ピョン子{/netabare}も自由自在w
久々に人間・禰豆子のセリフを堪能できました。
禰豆子ちゃん是非とも人間に戻してあげましょう。


【音楽 4.5点】
劇伴も引き続き梶浦 由記氏と椎名 豪氏による
フィルムスコアリング(映像に合わせて音楽を作る)。
和楽器も“梶浦語”もあまり目立たずクセも少ないが、
豊富なバリエーションで多彩なシーンに対応し、王道バトルを盛り上げる。

印象的だったのは“無限列車”発車の際に流れた
主題歌メロディーのBGMの高揚感。
再度、乗り込む際は、物語の終着点も想起させて、
また違った感慨を覚えると思います。


主題歌はLiSA「炎」(ほむら)
TVアニメ版ED「from the edge」に続いて、
作詞・作曲・梶浦 由記氏との再タッグ。
今作はよりLiSAさんの特色を引き出した楽曲構成。
自分の言葉で歌って欲しいとの方針から
作詞にはLiSAさん本人も共作として関わる。

個人的にLiSAさんの楽曲では本人作詞曲だった
「シルシ」(『SAO』2期・マザーズ・ロザリオ編ED)と双璧を成す、
涙腺崩壊ソングの爆誕です。

投稿 : 2020/10/21
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サンキュー:

43

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