遊微々 さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:途中で断念した
火ノ丸相撲に支えられ、共に歩んだ6年間
※序盤罵詈雑言が飛びますのでご注意ください。
{netabare}アニメに関しては数話のみの視聴です。
感想は一言
マジで!ふざけんなよスタッフ!
なんだあの原作の魅力の3割も引き出せていない迫力の無い作画は?
そしてなぜストーリー構成を原作通りではなくバラバラにした?おかげで沙田のキャラが台無しじゃねえか!!無理に2クールで全国までまとめなくていいんだよボケ!!
髭男のOPだけは認めよう。{/netabare}
※ここからはアニメの感想ではなく原作に対する私の想いです。
今でも思い出す2014年26号、期待と不安が入り混じってスタートしたのがこの火ノ丸相撲でした。
元々連載前に読み切り掲載があり、その時から個人的に注目していた作品ではありました。しかしいざ連載が始まるとなると「ジャンプに相撲漫画って需要あるのか・・・?」という不安が1話時点だと拭えませんでした。
しかし2話、3話と重ねるうちにそんな不安を見事に消し飛ばしてくれました。初連載とは思えない川田先生の迫力ある作画、感情移入しやすい魅力溢れるキャラクター、相撲という競技の魅力を真摯に描きだそうとしている熱意、相撲ならびに多くのスポーツが抱える暗部への言及、そして長らくジャンプに足りていなかった「友情・努力・勝利」の3要素を高レベルでまとめ上げたストーリー構成、紛れもなくこの漫画はどの作品よりも「ジャンプ」を体現していました。
語りたいことは山ほどありますが、まずは最初のライバルとして立ちはだかる国宝「三日月宗近」こと沙田美月について。
序盤の潮と沙田の関係性、実に素晴らしい。潮の姿に憧れ、天性の才にて瞬く間に国宝へと至った沙田美月、そんな彼とは対照的に体格に恵まれず一気に凋落していった潮火ノ丸、一見正反対の二人ですが、その後同じような運命を辿ることになります。
去年の中学横綱であった沙田に勝ったのもつかの間、新人戦で大和国の後継者である久世草介の前に完敗した潮、他人の何倍もの努力と相撲に対する熱意をもってしても埋められなかった体格差、悔しさのあまり潮は涙を浮かべます。
一方その頃沙田も全国大会で高校横綱の天王寺獅童に圧倒的な力の差を見せつけられ敗北。その力量差に絶望した沙田の元に追い打ちをかけるように知らされる潮の敗北。中学時代、自分の胸を高鳴らせてくれる相手がいなかったことに失望していた彼が、いざ高校に入ってみると自分がどれだけ小さな存在だったのか、真剣勝負を如何に甘くみていたか、そして何より負けることがどれだけ悔しいということか、その身に刻み付けます。
両者は強敵との敗北の中で、その悔しさと同時に相撲に対する自分の気持ちを再確認します。誰よりも相撲が好きだからこそ絶対に負けるわけにはいかない、二度と負けないために二人はそれぞれ己を磨き、そして全国への切符をかけて再び県予選決勝で相まみえる、いやーここは本当に実に熱かった。
この時の沙田のプレッシャーったらそれはそれは凄まじかった。潮に敗北して以降は僅かに近況が語られただけ、満を持して再登場した彼の姿はまさに国宝を冠する強者、読んでいて思わず身震いをしたものです。
正直ここの勝負が素晴らしすぎて、全国編は大丈夫なのかと不安になったものです。しかしそれもあっさりと杞憂に終わりましたね。
次なる全国編はやはり天王寺獅童と久世草介の2人です。
高校横綱である天王寺は潮が憧れた人物、その名前と実力は作中でも早期から明言されていましたが、その姿が描かれたのは連載開始から2年ほど経ってからでした。初見は「あら、思ったよりもイケメン・・・」
なんて呑気な感想を抱きましたが、直後に彼が見せた修羅の如き表情を見て「あ、勝てねえ・・・」とすぐさま畏怖しました。
彼の試合は3試合描かれましたが、特に印象に強いのが潮との個人戦と久世との個人戦。
2回戦でいきなり天王寺とぶつかることになった潮、その圧倒的な強さを前に善戦するも惜敗してしまいます。しかし彼が敗れる直前に天王寺に覗かせた表情は鳥肌ものでした。見開きを使って描かれたこのシーンは火ノ丸相撲の中でも屈指の名シーンだと思っています。
そしてもう一つ、「草薙剣」こと久世草介との国宝対決。
この二人の対決は連載始まって以来ずっと熱望していた勝負だったのでそれは興奮しました。基本敵vs敵の組み合わせは勝敗が読めないため名勝負を演出しやすいのですが、この二人は特にそれが顕著でしたね。どちらが勝ってもおかしくない勝負、毎週のジャンプが本当に待ち遠しかった・・・・
そして久世草介、主人公の潮にとって最大のライバルです。
久世との全国決勝は間違いなくこの作品において一番の名勝負でしたし、ジャンプの歴史で見てもトップクラスだったと思います。
大和国の後継者として相応しい相撲を、それを想いを胸に秘めた若き天才はついに相撲の神にまで至ろうとします。それに対する潮、おおよそ相撲に不向きな体格を授けられ、相撲の神から見捨てられた存在。しかし多くの敗戦を糧に死地をくぐり抜けてきた彼の体には、相撲の神すらも投げ飛ばせるほどの輝きが宿っていました。
潮の苦しむ姿を間近で見ていた我々読者にとって、勝利を手にした姿、そして同時に土俵上で見せた涙は何度見ても心を震わせられます。
敗北後に静かに悔し涙を浮かべる久世の姿も相まってここは何度読み返しても泣いてしまうんですよね。この勝負を見届けた時、この作品に出会えてよかったと心底思いました。
そしてこの作品は、私のジャンプ購買意欲を支えてくれた作品でもありました。今作が連載していた6年間の間に、個人的には2度ほど暗黒期を経験しております。それでも私がジャンプの購読をやめなかったのは、この火ノ丸相撲があったからに他なりません。火ノ丸があるからジャンプを買う、終わるまで見届ける、今なお私がジャンプを購読できているのはこの作品のおかげであり、これがなければ『鬼滅の刃』『Dr.STONE』『呪術廻戦』『チェンソーマン』といった作品にも出会えていなかったでしょう。本当に感謝しかありません。
最後に、このレビュー通じてまあ何が言いたかったといいますと
みんな!!マジで原作読んで!!!
ってことです。
{netabare}これだけの作品をあの程度のクオリティにしか仕上げられなかったアニメスタッフはマジで反省して、どうぞ{/netabare}