たわし(爆豪) さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
歴代の少年ジャンプ作品の中では一番戦う「意味」が深い
おそらく、映画館の入りは「ヴァイオレットエバーガーデン」以上であり、キャラクターグッズやパンフレットが完売になり、行列になるほど。。。社会現象化している。
「鬼滅の刃」はやはり少女漫画のメゾットで作られている。
正直、キャラクター構成も内容も「少年ジャンプ」ならではのド直球の王道であり、正にジャンプのマンガそのもの。。だが、
それは「敵」との駆け引きではなく、「仲間」。。とりわけ「家族」の絆を第一に考える行動そのものが、「少女漫画」的であり。。
少年ジャンプ作品の中でも敵と戦うことに「意味」を持たせている。
これは同じようなテーマ性を持つ荒川弘の「鋼の錬金術師」にかなり似通った共通点である。
必殺技の合理性や努力の結果ではなく、他者を「想う力」が何よりも強いという発想は非常に女性的な感性であり、そこがこの漫画をわずか23巻(完結を含めると)で1億部の発行部数を誇る所以になっている。
今回の映画版は序盤はギャグが中心のお子様向けの少年漫画として描いてるのかと思いきや、原作以上に制作側が「感動させよう」というところがみえるので、夢での回想シーンや煉獄の死闘の演出が非常に丁寧に。。言い方を変えると「粘着」して描いているのは、観る側がどこに「感動する」のかを踏まえた演出方法だったんだと思う。
そこが、他のジャンプのアニメ映画とは決定的に違うところであり、主に女性をターゲットに作っていることが解る。
はっきり言うと、あまり「感動」させよう「泣かせ」ようとしてアニメ作品を作るのはプロの仕事ではなく、「大衆」向けであるので好きではないが、原作ファンの人には最大級の褒美になるような原作準拠な内容になっていることは事実である。
なので本作は間違いなく大ヒットするだろう。
作画のクオリティも高いし、満足度も高い。
実に計算された作品だと思う。
それを踏まえた上で、あえて言おう。。この作品は「駄作」ではないが、「傑作」でもない。
正直、他のジャンプ映画としては制作側の気合の高さも含めて高いレベルで「映画」として観れるが、そもそも煉獄というキャラは原作でもそこまで主人公と絡んでいたキャラクターではなく、炭治郎達があそこまで悲しむほどの「関係性」がない。
なので、他のジャンプ作品の師匠筋のキャラクターとしてもキャラが少し弱いのである。なので原作準拠とはいえ、あそこまで感動的に作られるのは少し違和感があった。
良くも悪くも方向性が解る作り方ではあるが、もう少し多視点で観れるような作風にしてほしかったのだが、「友情」「努力」「勝利」より、なによりも「家族愛」が大事というテーマが現代でこれだけ流行るというのはなにやら社会的にすごい時代になっていると思った。