gkm さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
絶望が魅力的で希望が霞むキャラもの推理アニメ
放送当時にはすでにダンガンロンパ2が発売されていることから、この作品は相当な反響を呼んだゲームであり、そのアニメ版なのだということがわかります。アニメを視聴してゲームを購入したという人も多いのではないかと思います。
私は原作をプレイしたことがないのですが、ミニゲームやアクション要素などプレイヤーを飽きさせない工夫が盛り込まれていたようです。
アニメ版となるとそういったプレイヤーの能動的な部分が失われてしまうので、アニメ化すると退屈になりかねないのではと思われますが、キャラクターの魅力や以下にあるような謎が終始きになるように作られているので、割と楽しく視聴することができるように思います。
ハウダニット(犯行方法)
・どのように彼らを密室に閉じ込めたのか
ファイダニット(犯行動機)
・なぜ彼らに殺し合いをさせようとするのか
フーダニット(犯人)
・このゲームを主催ているのは誰か
・彼らの誰が死に、誰が生き残るのか
・彼らを殺害したのは誰か
ここに付け加えて
(処刑方法)
・犯人がどのように処刑されるのか
があるのがこの作品の肝になります。ここがあるかないかでは作品の魅力に大きな差が生まれることでしょう。昔から頭のおかしい部分が人間にはあるもので、現実でも罪人の公開処刑がもはや娯楽として成り立つことを知っていると思います。やはり、誰かが死ぬというのは娯楽なんですね。それは悲劇でも同じことが言えます。
記憶喪失、自殺、双子、多重人格、死んだ人間が犯人などいわゆるタブーに躊躇なく入っていく物語の構成に好感が持てます。
また、どう希望があがいてみせても絶望のほうが魅力的なのもこの作品の長所だと思います。黒幕が魅力的過ぎですね。「〇〇だから、世界を絶望に染める」の「〇〇だから」がない。つまり犯行動機がない。過去に辛い出来事があったから悪の道に染まったという犯人がこの世にどれだけいることか。金が欲しかったから悪事を犯す人間がどれだけいることか。絶望の原因が突き止められれば悪役を改心させる方法が見つけられるが彼女にはそれがない。彼女を救う方法はもう死刑以外にないのです。
逆に絶望側に入ってしまった犯人たちの犯行動機(ファイダニット)がうすすぎるのがデメリットになるかな。人を殺す理由はそれなりにあるものですが、彼らに限って言えば初対面ですから人を殺す理由がない。モノクマがそのへん頑張って彼らが殺しを行うように犯行動機を作っていました。
希望側の苗木くんは絶望に対して絶望的に魅力がないですね。苗木くんのどんなことが起こっても負けない精神は主人公だからで片付けることが出来ます。苗木くんだからという部分がどうしても薄い。記憶を失っているから友人たちとは初対面なので、彼らを助ける理由がとんでもなく善人な思想でないと厳しいのですがそれがあまり見えてこないですね。
絶望側では犯行動機に理由がないことが魅力的なのに、希望側では助ける理由がないことが疑いを生むというとんでもない皮肉?が見えてきました。「他人を助けるのに理由はいらない」という言葉に疑いの目を持つことは、現代では当たり前であることがなんとも悲しい事実です。