saitama さんの感想・評価
2.9
物語 : 3.0
作画 : 2.5
声優 : 3.5
音楽 : 2.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
時代背景もあるのだろうけど、制作時間足りなかったのだろうな…。
記念すべき第一回24時間テレビ「愛は地球救う」内で放送されたスペシャルアニメ。
手塚治虫作品なのだけど、地球人は野蛮な侵略者、惑星ゾービでは動物食料は尻尾だけは切り取って食料にしてよいが動物を殺してはいけない…って、思いっきり偏向かつダブスタな左翼思想そのまま。物語を見ればわかるが、実際この物語の中で地球人がやっている行動は、九段線を侵略する現在の中国そのものという左翼の思想矛盾。まあ地球人が侵略しているという点は間違っていないが。
マザーコンピュータがすべてを指示する、つまり全体主義が世界を滅ぼすという点では正しい。結局、手塚治虫って左翼思想で無政府支持者だったのだろうなと歴代作品を観て思う。
そうした偏った思想によるものかは不明だが、物語の途中に出てくる地球の創生に関する話では、地球の内部(コア)がほぼ鉄であることは一切触れられず、生命の進化なども偏向した知識だとわかる。医者を夢見ていた手塚治虫だが、こうした設定部分はあまりにも知識自体が古いままだと言わざるを得ない。
悪役にブラックジャック…あとで兄と判明。物語全体で人間関係や言葉選びが稚拙。主役バンダーが捕獲されて途中の星で捨てられる理由もよくわからん。恐怖のせいで人類が異常進化、さらにタイムマシンで過去に思いっきり干渉するという、ある種破綻したストーリー。途中の星はさまざまな宇宙人がいるようだが、レーザー武器という科学技術を使うのに飛竜が乗り物という無理設定。
過去は変えられないが未来は変えられるという社会メッセージ部分は良い。でも、それしか美点が見いだせない。あと、自己犠牲が美徳にもテロにもなりうることを冒頭と最後で表しているのも、手塚治虫思想ではあるかな…。ブラックジャックでよく出す、二面性はきっちりこの作品でも現れてる。
音楽は大野雄二。恐ろしいほどすべての音楽がルパン三世そのまま。たぶん、時間がなくて新たに作曲するのではなく、急ぎレパートリーのなかで音を当てたのだろう。あまりにも使いまわしだらけで、いま観ると本当にビックリする。あと、無駄に声優陣は豪華。
モブキャラは手塚キャラのオンパレードで、ヒッチコックの墓らしきものも出てくる。マリーナ姫の故郷シリウス星は、ちょっと不思議の国のアリスっぽい。全体としてはスターウォーズっぽいキャラも多い。スターウォーズがどれだけ世界に影響与えたのかが感じられる。
うーん、結局は時間がなさすぎて、結果的にやっつけ仕事な作品になってしまったのだと思う。手塚作品ってじつはそうした駄作も本当に多い。それが『24時間テレビ「愛は地球救う」』内で最高視聴率を取ってしまうという巡り合わせ。良くも悪くも、その後のアニメ業界にとって、この作品はひとつの分岐点だったと思う…。