栞織 さんの感想・評価
4.9
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
時代劇アニメ屈指の傑作
山田先生の原作は遥か昔の学生時代になんとなく読みました。推理作家の誰かが「迷わず買え」とあとがきに書いていたので、購入した覚えがあります。当時は真ん中を飛ばし読みして、ラストの悲恋部分だけ読み、なんて悲しい結末なんだろうと思い、それだけで気に入っていました。今回というかもう何年も前になりますが、このアニメ化作品を拝見して、どのような物語だったかをやっと把握できた次第でした。旅をしながら忍者たちが戦いでどんどん脱落していくというお話だったんですね。また戦いを企画したのは、あの大河ドラマの春日局ではなかったでしょうか。違ったかな?とにかく幼い子供をお世継ぎに据えたい一心で、企画した話とわかりました。その馬鹿馬鹿しさは、山田作品では繰り返し出てくるエピソードです。そのあたりも、このアニメはうまくシナリオでわかりやすく描いています。だから時代劇初心者でも安心して見られると思います。
作画は私が言うまでもなく、素晴らしいものです。特に最終話あたりの作画は本当に美しいです。また登場する忍者の誰もが、それぞれにきちんとしたエピソードを持っています。悪役の天膳ですら、その生まれが忌まわしいものという設定があります。これも山田先生の原作が非常によくできていて、それがうまくシナリオ化されているせいだと思います。そしてラストの悲恋の美しくもはかない悲しさは、未見の方はぜひその目で確かめてください。
この話の続きのアニメ化作品に「桜花忍法帖」がありますが、そちらはあまりおすすめしません。もしどうしても続きが見たいと言うのであれば、コミック化作品の方をおすすめします。コミック版のものは、傑作です。