栞織 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
リアルで怖かった
エヴァと似た作品で思い出すのはこの「亜人」です。主人公が異形のものと一体化するという設定は古くは「デビルマン」でしたが、この「亜人」もその亜流にある作品で、しかも主人公が鬱屈した少年という設定はエヴァのシンジくんと似通っています。しかしこの「亜人」の主人公はもう少し行動力のある設定だったと思います。ストーリーの概略しか今では思い出せないのですが、見た当時は続きが見たくて仕方がなかった作品で、出てくる大人の佐藤というキャラが強烈だった印象があります。主人公の圭は途中から異能になり、性格も男らしく変わりましたが、当初は目立たない学生で、しかも受験を抱えて苦悩しているような設定で、うちも当時受験生が家にいましたので、身につまされて見ていました。出だしの交通事故に会うまでのその、学生生活の閉塞感は、ものすごくよく出ていたと思います。そういったリアル感がこの作品の持ち味で、3Dアニメだったので特にそれがよく表現されていました。特に、政府機関で拷問を受ける場面の残酷さは、ものすごかったと思います。この時期は「シドニアの騎士」も放映されていた頃だったと思うので、全体的にアニメ界全体でそのような残酷描写のものが多かったような気がします。リアルで怖いものが多かったということです。
アフタヌーン連載の原作漫画はほとんど知りませんが、どこかで絵柄を見たら、このアニメのものとはまったく違っていたような記憶があります。それなので、このアニメの絵柄や全体のムードを設計した人は、本当に卓越した感性の持ち主だと思います。ほとんどアニメであるという事を忘れてしまいそうなぐらい、邦画実写のようなリアルなストーリー展開で、しかしアニメならではのアクションシーンが多かったです。今ではあまり顧みられない作品ですが、あった事を覚えていてもいい作品だと思います。