タック二階堂 さんの感想・評価
3.1
物語 : 2.5
作画 : 2.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
とにかく主人公を褒めて褒めて褒め倒す。
詳細は公式でも。
はい、今期の「なろう」枠です。
11歳の少年・リョウマは深い森の奥で、スライムたちを飼育して暮らしていますよ。餌によって、スライムは能力が変わるという研究をしていますね。そんなある日、冒険者の一行に遭遇。ひとりが瀕死の重傷を負っているということで、自作のポーションで怪我を治してあげました。その冒険者は、なんと公爵のラインハルト・ジャミールだったのです。
ラインハルトは、一宿一飯&部下の治療の恩義を感じ、ふたたび隠遁しているリョウマの家を訪れますよ。娘のエリアリア(CV:桑原由気さん)を連れて……。
という初回のお話ですね。
うん、悪くない。制作は今期2本目のMAHO FILMですね(もう1本は「100万の命の上に俺は立っている」)。Wiki大先生にも載っていない制作会社ですが、2018年に悪名高き「イセスマ」を制作したスタッフが独立して立ち上げた会社のようですよ。
え、イセスマ……?
まあ、好意的に見れば「イセスマの失態を内部で知っているスタッフが、会社に愛想を尽かして独立した」と取れなくもないですけども。
でまあ、うん。作画は、こっちもそれほど……。そして、転生する際の神様たちと話す場所もイセスマそっくり。畳の部屋でね。ただ、その後の展開がイセスマよりは悪くない。原作が悪くないのかな。俺TUEEEE!ではない感じ。そして主人公のリョウマは……、うーん、イセスマの主人公のように死んだことに何の感情も持たないあたり、そっくりと言えばそっくりですが。
まあ、初回の印象ではイセスマほどの酷さはないですよ。むしろ、悪くないと言ってもいいかもしれません。良くもないけど。
こっちは「いらすとやバージョン」ないんですね。楽しみなのは、作品ラジオで、主人公のCV:ころあずとヒロインのCV:くわちゃんがパーソナリティーとして始まることでしょうかね。とりま、様子見です。
=====第3話視聴後、追記です。
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森の家から公爵家の招きで街に出てきたリョウマ。その能力を可視化するために教会に行くことになりました。そこで、なんと転生させてくれた神様たちに再会することができました。
神様たちはリョウマのスキルについて、また過去にこの世界に転生した人たちについて教えてくれました。そして、公爵家の令嬢・エリアリアは、過去の転生者の能力を色濃く受け継いでいることを。
公爵家の人達は、リョウマの高い能力を良からぬ連中に利用されることを危惧し、冒険者ギルドに登録してランクを上げて地位を確保することを勧めます。そこでリョウマはギルド長から、能力試験を受け、見事合格。Gランクから始めることに。最初の依頼は、ネコ人族・ミーヤのおうちを掃除するミッション。しかし、そこは想像を絶する汚さだったのでした……。
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というお話です。
なぜかここではとても評価の低いこの作品。でも、面白いですよこれ。とにかく優しいスローライフな異世界で、リョウマはいろいろなことをやっていく感じ。そりゃ相当なご都合主義ではありますが、そんなのは「なろう異世界モノ」なら知っている話ですし、なんならここまでは同じような題材の「転スラ」より面白いくらいです。
ご都合主義でもストーリーが破綻しなければ楽しめます。こういうもんだと思いながら観ますので。作品全体を通じて感じる登場キャラの優しさが、この作品の持ち味。ほっこりしながら楽しめていますよ。
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=====第4話視聴後、追記です。
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ネコ人族・ミーヤのおうちは隣に清掃工場から地下室の壁の穴を通じてゴミが流れ込んでいたため、掃除しても掃除しても汚れて臭くなっているのでした。そこでリョウマは、スカベンジャースライム達にゴミを食わせ、壁の穴をレンガを作る魔法で埋めてクエスト完了と。ミーヤにはとても感謝されますよと。
で、その仕事ぶりを買われ、ギルド長から街の共同トイレの清掃を依頼されます。汚物タンクは30基。本来なら掃除すべきスラムの連中が役所から賃金を削られ、職務放棄しているから汚れ放題になっているということのようです。その事態をラインハルトに報告すると、どうやら横領している役所の人間がいるとのことです。
で、とりあえずリョウマは30基の汚物タンクをスカベンジャースライムを使って掃除していきますよ。ウン●を食うことで、キングスカベンジャースライムにランクUP! とはいえ、3日3晩、寝ずにトイレ掃除をするリョウマ。徹夜明け、帰り道に生前の記憶が蘇ります。朝まで待っていてくれた母さん。でも、その母さんも亡くなり、ブラック企業での仕事を終え、誰もいないアパートに帰る寂しさ。でも、この世界では違う。自分を待っていてくれる家族のような人達がいる。リョウマは思わず号泣してしまうのでした。
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というお話。
異世界転生してやってることが汚部屋掃除とトイレ掃除。スカベンジャースライム便利よね。ご都合で、どんどん掃除に便利になっていきますよ。
とまあ、ここまでは、なんだか安い話になってきたぞと鼻白んで観ていました。しかし、この作品のズルいところは、ここでリョウマの生前の母との思い出回想をぶち込んでくるんです。
わかってます。わかってますよ。これまた安いお涙頂戴な回想だってことは。それでも、徹夜仕事帰りの息子を、朝まで起きて待っていてくれた母さんとか、死んでしまって一人の家に帰る中年男の悲哀とか、そりゃ涙も出ますって。
てなわけで、安い「なろう」異世界転生アニメだけど、泣かされたらしょうがない。まだ観続けますよ。
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======第6話視聴後、追記です。
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廃坑に出没する雑魚モンスター討伐ということで、依頼を受けたリョウマたちはパーティを組んで、順調に雑魚モンスターを倒していきますよ。そんなとき、坑道の奥のほうでゴブリンの群れと遭遇してケガをした冒険者が出たとの情報が。
そこでクエストは変更となり、50匹ほどのゴブリンの村を掃討するということになります。しかし、坑道を進むに連れ尋常じゃないゴブリンの大群が登場。はたして、クエストを無事に終えることができるのでしょうかね。
{/netabare}
というお話です。
う~~~~~~ん……。
話も絵も雑になってきましたよ。ゴブリン退治っていったら、どうしても「ゴブスレ」と比較しちゃうじゃないですか。似たようなゴブリンのキャラデザだしさ。で、まあゴブリンを真っ二つに斬って、内蔵ドゥリュン的な描写やスライムが死体を食ってる描写とかもあるんだけど、こんな作画だからぜんぜんグロくない。しかも、スライムが全然、食っているような感じしない。
ゴブリンの群れが大群で襲ってきたときとかは、いちおうリョウマがアシッドスライムの酸でプールを作って罠にしたりとか、サウンドボムというデッケエ音鳴らして足止めした瞬間に攻撃するって戦略を立ててバトってるんですが、やれボス級のゴブリンコマンダーとホブゴブリンの群れが登場したと思ったら、大量のスライムで襲いかかって2秒でボス戦終了ときたもんです。
ていうかさ、主人公が俺TUEEEEじゃなくて、主人公のスライムTUEEEEになっちゃってるもんなぁ。で、最後は公爵家の庇護を離れ自立して、スライムを使った洗濯屋になるっぽい。それも、冒険者たちのゴブリンの汚れをスライムでキレイにしてあげたから思いつくとか。それ、話が広がるんでしょうか……。
絵もストーリー展開も雑。何の苦労もなく、ただスライムが便利で強いから話を進めているだけという。こりゃ、どうにも期待できなくなりつつありますね。さすがは「イセスマ」スタッフといったところでしょうか。
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=====最終話視聴後、感想です。
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ナイトメアリムールバードを怒らせて、飛び去ってしまった湖。でも、待っていると、また飛んできますね。で、エリアリアがヴァイオリンを弾くと何羽か集まってきて契約できましたよと。で、リョウマタケバヤシがギターを弾くと、なんとナイトメアリムールバードまで契約結べました。
わー、リョウマすごーい! パチパチパチパチ!
でまあ、あとは別れの宴。エリアリアとのライトな恋愛ストーリー的な何か。で、別れにあたって大事なものを預け合うということでね。リョウマタケバヤシは大事なスライムを預けましたよと。
で、僕の廃坑ぐらし&洗濯屋経営はこれからだ! で終了。
序盤の転生前の生活&母親との悲しい別れのエピソードだけが頼りで、結局最終話まで観てしまいましたが、そこがピークでしたね。あとはもう、まるで政治家の接待のようなリョウマタケバヤシへの賞賛の嵐。これまたスマホ太郎と同じ。「わー、すごい。スマホ太郎は凄いよ!」「わー、すごい。リョウマタケバヤシは凄いよ!」って話でね。
ころあずのOP「ヤサシイセカイ」というのは、確かに中盤くらいまではそうだったんだけど、中盤から終盤はもう、ただただ子供を接待する大人たちの「キモイセカイ」になってしまいました。原作を知らないので何とも言えませんが、これはストーリー的にどんな制作会社が作っても、こんな風にしかならなかった気がします。
なんでも思いどおりになって、みんなが褒めてくれるだけの世界。そんな世界に転生したいですか?
{/netabare}