STONE さんの感想・評価

3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態：観終わった

とりあえずの簡単な感想

　原作は未読。

　他の作品のレビューでも散々書いたが、特化モチーフを持つ日常系の場合、モチーフと
キャラクターの扱いのバランスが結構気になるところで、モチーフに比重を置きすぎるとキャラは
ウンチク紹介の駒のようになってしまうし、逆にキャラ偏重だとモチーフは単なる舞台装置で
終わってしまう感がある。
　もっともどちらかに寄せるのが別に悪いとは思っておらず、そういうコンセプトの作品なら
それはそれでいいと思うけど。
　で本作に関して、当初は釣りの説明が多かったせいか、モチーフ寄りの印象があったが、次第に
キャラが立ってきて、結局はバランス良く仕上がった感じ。
　キャラ自体それほど多いわけでないが、いずれのキャラも魅力的で、更にていぼう部にしろ、
家庭にしろ、楽し気な状況が続いていたためか、終始にぎやかな印象があった。
　中心となるていぼう部の４人だが、それほど年齢差があるわけでもないのに黒岩 悠希、大野 真の
2,3年生組は、鶴木 陽渚、帆高 夏海ら1年生組の保護者のよう。釣った魚を食べる食事シーンが
多いこともあって、部員で一つの家族のような感じ。

　釣りの方はストレートに釣りの楽しさが伝わってくる内容で、主人公である陽渚の釣りに対する
向き合い方を軸に、初めて魚を釣った時の喜びから始まり、最終的には自分で考えて、工夫をして、
それが当たった時の楽しさ、いわゆる「釣れた」から「釣った」へと、釣りの楽しさの広がり方が
よく表現されていたと思う。
　余談ですが、個人的には新型コロナのため釣行を自粛していたが、本作を観ていると釣りに
行きたくてしょうがなくなり、結局は家の前の川へ行ってしまった
(「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。続」で比企谷 八幡と平塚 静先生が夜に車を
停めて会話した橋の川w)。まあ坊主だったんですけど、久々に竿を振れただけでも楽しかった。
　釣り及び魚のさばき方の説明は結構ていねいで細かく、ハウツーものとしてもそれなりによく
出来ている印象。
　マナーや環境保護といった側面がちゃんと描かれていたのも好ポイント。釣りに限らず、
こういった部分は大切な部分ではあるが、決して面白い部分とは言えないため、作品によっては
なかったり、あるいはこういった要素のために説教臭いものになったりする中、うまいこと
盛り込んでいる感があった。

　作画はさすがの動画工房という感じで、アクションもののような派手な描写こそないが、
キャラの何気ない仕草の描写が素晴らしく良い。
　作画に関しては本作のモチーフである釣りにおけるキャスティングのシーン、釣り具、
魚及びさばき方の描写、加えて風光明媚な背景なども良かった。
　田舎が舞台ということで、「のんのんびより」などに通じる癒し感も。

2020/10/05