栞織 さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
昭和から平成の風景
この作品も少し前にあった社会事件が背景に描かれた作品だと思います。話としては現代が舞台ですが、昭和や平成の時代にあった大きな社会問題や事件が設定でたくさん出てきます。何よりも主人公二人が爆破犯人という設定が、私の若い頃の過激派の組織犯罪のような設定で、今の時代には少なくなった事柄でした。それなので、若い世代にはアピールは難しかったのではないかと思いました。またあらすじも最後まで見て腑には落ちましたが、話としてどうなのかと思う展開で、彼らの幸せを願う気持ちはあるものの、社会的道義としてはどうなのかと思い、小骨が刺さったような気分にさせられました。しかしストーリー的には波乱万丈の展開で、最後まで飽きさせることはなかったのは見事でした。この監督のあとの作品の「キャロルアンドチューズデイ」よりも、本作の方がシナリオの完成度は高いと思います。そのチャレンジ精神は評価できると思います。
作画は非常に細密に描かれていて、この作画監督の方のひとつの到達点のように見受けました。ほとんど乱れることのなかったのもすごかったと思います。3D処理もあると思いますが、ほぼ手書きだったと思うので、工芸品を見ているみたいでした。表情のつけ方などもよかったと思います。私も本作は、昭和の時代の三菱重工爆破事件の恐怖などを知っているので、ものすごく大好きな作品ではないのですが、作画があまりにキレイなのでムック本を所有しています。また主題歌が暗めの曲ですが、OPEDとも本作にぴったりの曲だったと思います。本作はいろいろな意味で超問題作でしたが、決して忘れることのできない作品だと思います。