かんぱり さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
もやもやした余韻が残りました
手塚治虫原作みたいですが、原作未読です。
渋い題字とか、ベベベンと鳴る琵琶?の音とか、時代劇って感じで雰囲気出てていいですね。
こういう日本の時代劇アニメってあまり見ないので、新鮮に感じました。
OP(前半)は作品の雰囲気にとても合ってて良かったです。
物語はある理由で体の大部分を奪われた百鬼丸が、こそ泥をしていたどろろと出会い、体を取り戻すべく、鬼神と呼ばれる化け物たちを退治していくために旅をしていきます。
しかし鬼神に百鬼丸の体を差し出す代わりに領地の安定を得た領主であり百鬼丸の父である 醍醐景光は、領地を護るため、百鬼丸の弟の多宝丸と共に百鬼丸を倒そうとします。
領主の立場だと、領民たちの幸せ>百鬼丸になるのでしょうか。
犠牲になった百鬼丸がかわいそうだし、そもそも鬼神にすがらなくては領民を救えなかったのでしょうか。
これにどう答えをだしていくんだろう・・と思いながら見ていました。
エピソードだと、みおの話は切なかったです。
それから百鬼丸の育て親と再会した時、名前を名乗らない相手に百鬼丸が、おっかちゃん、というところはじわっときました。
回を重ねるごとに、百鬼丸とどろろの絆が深まっていくのは良かったです。
何かそこから救いが出ればいいなと思いつつ・・
醍醐と朝倉の戦が始まる。
多宝丸は醍醐を強国にすれば平和がくるというけど、戦は醍醐の民も相手の国の民も不幸にするよね。
百鬼丸は体を取り戻すために、多宝丸は醍醐のために戦う。
この戦いの最中、百鬼丸と多宝丸はどちらも鬼神になってしまい・・
そしてお互いの信念のために戦う百鬼丸と多宝丸。
力をつければ鬼になる?
心があれば鬼にはならないというどろろ。
どろろが百鬼丸の心になれば・・どろろが希望なのかな。
鬼神って結局なんだったんだろうか?
人々の怨念が鬼神を生み出すのだとしたら鬼神に頼って平和を維持することはすごく危うい上に成り立っている束の間の平和なのではないでしょうか?
鬼神は自分たちの存在を崇めさせるために人間を利用しようと甘い蜜を与えているに過ぎず、このままいけば、第2第3の百鬼丸が生まれたのかもしれません。
醍醐景光は思います。
もし、鬼神に百鬼丸を捧げずに自分の跡目を継いでくれていたなら、鬼神に頼らずとも違う道が開かれたのではないか、と。
平和とは、他に頼らず、自分たちで切り開いていくべきものなのだ、ということなのでしょうか。
良い作品だと思いましたが、視聴後はなにかもやもやした余韻が残りました。