ドウ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
傑作かな
とても感動しました。過去のシリーズ作品からの見事な昇華。傑作と呼んでも良い出来でした。
観ている時は、 {netabare}「今になって少佐が生きている事になって、物語的に整合性とか大丈夫かな」と自分の中での懸念もあったのですが。
問題なく1つの作品としてまとまりが取れ、少佐とヴァイオレットの繋がりが見られた美しい作品だったと思います。{/netabare}
TVアニメ版での、{netabare}亡き母親が成長していく娘へあらかじめしたためた手紙を贈り続けるあのエピソードが、ああいった形で未来の新作エピソードに影響する点も素晴らしい演出で心に残りました。
過去から未来に「生きた心」が伝わっていく尊さや美しさ、それと時が移り変わり人や物が変わっていく寂しさのようなものも感じました。{/netabare}
映像もストーリーも素晴らしく、観終わった後にこの作品の余韻と共に、これまでのシリーズで観てきたヴァイオレットの歩みも思い起こされました。
様々なエピソードを通して「愛してる」という、実は普遍的に近くに存在していても見失いがちだったりする宝物の、その尊さと深みを感じさせてくれました。
気になった点をあえて上げるとするならば、
{netabare} ギルベルト少佐が故郷に帰らない、母親に会わない事について違和感のようなものは少しありました。違和感と言っても「不可解だ」というような大きなものではないですが、引っかかった部分はありました。
ギルベルト少佐の母親は恐らくヴァイオレットに勝るとも劣らないであろう「愛」を持ち、ヴァイオレット以上に共に過ごしたであろう「時間」や「血の繋がり」のある存在だったのでしょう。
それが例え負い目や罪の意識の対象でもあるヴァイオレットという傷ついてしまった愛する女性がいるとは言え、少佐の世界は「少佐とヴァイオレット」だけではないはずであり、母親の葬式も墓参りもせず故郷を捨てたような少佐の行動にはやや違和感がありました。
観ている途中で、もしかしたら少佐が故郷に帰らない理由として「記憶喪失なのか?」とか「精神的に狂ってしまった部分があるのか?」とか考えもしましたが。心と身体に傷を負って無事とは言えないまでも割りとまともでしたし。
繰り返すようですが、違和感と言っても「不可解だ」というような大きなものではなかったのですが。少佐の行動が腑に落ちないような引っかかるものはありましたね。 {/netabare}
それと自分の願望のようなものとしては、
{netabare}劇中であったC.H郵便社の古い集合写真みたいなものに確かヴァイオレットちゃんいなかったので、会社辞めた身とはいえ一緒に写っていてほしかったですね。ヴァイオレットと少佐が一緒になった後も、たぶんC.H郵便社の人達との交流が完全に途絶えた訳ではないですよね。まぁ少なくとも少佐は母親の墓参りには行きましょう。{/netabare}
ちなみに自分が2020年に視聴した映画、OVA作品の中では『劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」Ⅲ.spring song』がベスト候補でしたが、この作品も対抗馬として出てきました。
2020年に視聴した映画、OVA作品で「BEST10」を作成するとしたら、シリーズものとしてより前知識が必要な『劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」Ⅲ.spring song』よりも、1つの劇場版作品として見てよりまとまりの取れていた分『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を上位に挙げるかもしれません。
まぁこのレビューを書いている時点で2020年は10月の段階なので、まだまだこれから触れる作品にも注目していきたいですが。
それだけ自分はこの『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を高く評価しています。
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のシリーズもまだ新作エピソードを作れる余地があるとは思いますが、これで綺麗に完結となったのかな。
この素敵な作品との出会いをありがとうございました。