栞織 さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
海外SF小説のような結末
この作品は、それほど期待して見ていたわけではありませんが、シリーズが終わった時、本当にSF長編小説を読んだような気持ちにさせられました。個々のキャラクターがそれほど好きだったわけではないのですが、ジュブナイルものとしては、かなり意表を突いた終わり方でした。しかしジュブナイルものの王道の物語でもありました。身近な友人がラスボスだったということ、その事についてのショック、そして主人公の選択。まさに青春ならではの話だったと思います。
最初の設定を見た時は、楳図かずお先生の「漂流教室」の亜流の作品かなと思いました。しかしそれは見事に裏切られましたし、次元断層に落ちた街の様子は、リアルではなかったものの、かなりシビアな物語が展開しました。それは見ていて痛い話も多かったです。この作品とキャラ立てや手触りが似た作品で、「ギルティ・クラウン」というのがありましたが、まさにその逆世界を描いたような作品でした。というか、「ギルティ・クラウン」の甘さにアンチを感じた人たちが作ったような感じも見受けられました。主人公は「ギルティ」の真逆のような自信家で生意気な少年で、ちょうど「AKIRA」の金田みたいな性格の持ち主です。しかしごく一般的な少年像でもありました。そのあたりもリアリストな人たちが集まって作ったのではないかと思いました。私は「ギルティ」で描かれたようなユートピア的な話が元来好きなので、この作品世界には反発も覚えましたが、終わったみた時、物語としてきちんと作られていた点は評価できると思いました。伏線も巧みにはられていたと思います。
作画は3Dアニメで、ちょっと見ていて疲れるところもありました。すごくよく動くのですが、立体的すぎて、二次元のアニメに親しんできた身としては、立体的すぎる動きが多々ありました。このあたり3Dアニメ派の人たちは、もう少しうまく処理してほしいと思います。そこがちょっとつらかったです。