タック二階堂 さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
安定感抜群の日常睡眠ファンタジー。
詳細は公式でも。
週刊少年サンデーで連載中の、熊之股鍵次さんによる漫画作品です。魔王が、人間の姫であるスヤリスをさらって幽閉しますが、囚われのスヤリス姫は、寝る以外にすることがない。こっそり牢を抜け出し、魔王城を探検します。よりよい安眠の場所を求めて。
そんな自由なスヤリス姫に振り回される魔物たちとの、ファンタジーコメディ作品ですね。“睡眠ファンタジー”という聞いたことないジャンルですが、ライトなドタバタコメディとして楽しめそうな印象です。
制作は、日常系アニメの名手ともいうべき動画工房。主人公のスヤリス姫の声優には、こういうタイプのヒロインに合いそうな水瀬いのりさんを起用しています。脇を固めるキャラには松岡禎丞さん、石川界人さん、大原さやかさんと実力派を配置。少年誌の作品ということで、“美少女動物園”といった作品というより、ギャグ要素が強めな日常アニメになりそう。この作品もチェックしなければならないでしょうね。
で、初回。
うーん……。
いまいちピンときませんでした。
まるで4コマ漫画のように、細かいクエストエピソードを積み重ねていく手法ですが、なんか間がおかしいというか……。なんとも会話が噛み合っていないような感じが1話ずっと続いて終了した感じ。
当然、ドカーンと笑えるギャグもないし、ただただスヤリスが寝具&寝る場所を探してガチャガチャやる感じ。
まあ、動画工房を信じましょう。いつか面白くなる……はず。
=====第2話視聴後、追記です。
{netabare}
蚊に刺されたから蚊帳が欲しいとか、もふもふを抱いて寝たいとか、睡眠導入の薬がほしいとか、そんな快眠のためのアレコレを探し求めるスヤリス姫。でも幽閉されている身。魔王は自由に歩き回ってほしくないので、注意しに行くとスヤリス姫は爆睡中。
初回からの、このパターンは継続中。
どうやら、これ完全な「出落ちアニメ」パティーンですね。同じ動画工房の「ダンベル何キロ持てる?」と一緒。要するに、設定の面白さだけでドバーッと序盤に引きつけるけど、テーマ的にそんなたくさんネタがあるわけでもないから息切れするっていう。
なので、まだ面白いですよ、ここまでは。3話を超えてからが勝負でしょうね。
{/netabare}
=====第5話視聴後、追記です。
{netabare}
人間軍との戦いから戻ってきた魔族の女たち。今回は、スヤリス姫の所業を知らない鳥の魔族の女・ハーピィと、木の魔族の女・ネオ=アルラウネのお話。
ギャグアニメは飽きてくると新キャラを追加するテコ入れをするわけですが、この2キャラは非常になんというか、いいアクセントになりましたね。とても面白い回でした。ここへ来て、大きく巻き返した印象。出オチ作品かと思いきや、安定した「睡眠日常ギャグ」としてキープしています。
この作品こそ、料理の仕方を間違えたら単なる出オチになりかねない。さすがは日常系の動画工房。IWGPなんてやらなきゃよかったのにね。
{/netabare}
=====最終話視聴後、感想です。
{netabare}
姫がクリスマスでサンタさんに実家に帰りたいとお願いを……。すわっ、ホームシックか!?と魔王城の面々は慌てますが、何のことはない姫が帰りたかった理由は実家に忘れてきた毛糸のパンツを取りに戻りたいとのこと。
そこで魔王は、あくましゅうどうしとともにスヤの実家に戻ります。しかし、スヤが寝てしまい、ママンに見つかって連れて行かれてしまう。が、それは影武者のさっきゅんでした。はたしてスヤは、そして魔王たちはどうなる?
という最終話でした。
正直、完璧に出オチ系のアニメだと思っていたのですが、あれよあれよという間に完走していました。どかーんと爆笑するような感じではないのですが、全話クオリティが落ちず、ハズレ回がない。安定感抜群の日常アニメでした。ここは、さすが動画工房といったところ。
スヤのキャラデザはクセがありますが、水瀬いのりさんが好演。次第に可愛く見えてくる不思議。脇を固める実力派声優たちがコメディのテンポを上手く表現して、これも安定感抜群。
最後まで飽きずに観られたのは、制作の手腕に他ならないと思います。この作品ほど、制作会社が動画工房じゃなかったら失敗していただろうなと実感するアニメもないでしょうね。面白かったです。
{/netabare}