ゲリオ さんの感想・評価

3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

俺ツエ～アニメの決定版

毎度おなじみ「〇〇太郎」とネットで揶揄されるような、所謂なろう系作品だったがなかなかどうして面白かった。
設定はありふれていながらもエンターテインメントのポイントをきちんと押さえていたのでストレス無く視聴することができたのだ。
いちいち主人公を見下している敵キャラが毎度驚愕しながら屈服する様は爽快なカタルシスを得られる。
主人公のアノスが俺TUEEEE系ながら全く嫌味のないキャラに仕上がってたことも高評価。

ストーリーに関しては、よくあるラノベの異世界学園物といった感じで特筆することはあまりなく、内容よりも魅せ方で勝負したアニメだったと思う。
実際にあらすじパッと見では最後まで完走できるが不安だったものの、始まってみれば２～３話の時点で既に夏アニメで最も楽しみな作品に躍り出てた。
主人公アノスが「いくら俺ツエ―系だからと言っても限度があるだろう！」って程に強すぎるのが癖になる面白さがあった。
心臓の鼓動音で相手を全身血まみれにさせ、指パッチンの風圧で跡形もなく消し飛ばす。殺した相手を瞬時に生き返らせることも可能で、自身も心臓を刺されても一瞬で再生…ここまで振り切れてると逆に新しいんじゃないかという感情まで芽生えた。
台詞回しも独特で「殺したくらいで俺が死ぬとでも思ったか？」に代表されるパワーワードが印象に残る。

この「殺したくらいで～」のような数々の決め台詞については、最強系主人公の魅力を際立たせるのに大変効果的な役割を果たしていたと思われる。
主人公が圧倒的に強い作品は数多の既存作がある一方で、アノスのような名言製造機はこれまでにないキャラに仕上がっていたのではないかと。そこは原作者様のセンスを感じた部分である。
あとはcvを担当した鈴木達央さんの声も子宮に響く良い演技だった。鈴木さんというと腐女子アニメ専属みたいなイメージが何となくあったけど、久々に良い配役に巡り合えたのではないだろうか。

第1話Aパートからアノスが圧倒的な強さを披露してるのに、周りのキャラが一向にアノスが魔王だと認めないのは笑うしかない。これで"不適合者"設定はさすがに無理がありすぎるって…
いちいち「一体なんだんだアイツわー！」って驚愕するけどいい加減気づけｗ
その最たる存在だったエミリア先生が痛い目に遭った第7話はなかなかに痛快だった。
混血堕ちしてからの彼女がその後どうなったのか知りたかったが出番が無かったのは残念だった。
原作では再登場して活躍する機会が与えられたみたいなのでアニメの2期を密かに期待したいかも。

最後に一つだけ苦言を言えば、終盤の勇者学院編のシナリオ展開が少々雑だった気がすることか。
いや、別に魔剣大会編までのシナリオが丁寧だったかと聞かれればそんなことはないが（ストーリー重視の作品ではないし）、最後の数話が偽魔王ディルへヴィアの正体が誰かという点を重視しすぎて、勇者学院側による「アノスやべー！」のお約束をあまりリアクションしてくれなかったせいでエンタメ要素が薄れてしまった気がする。まー、ディルへヴィアの正体に関しては予想してなかったキャラだった（のは俺だけ？ｗ）ので驚きはあったけどね。
不満点はそれくらいで全体を通せば視聴者のツボを押さえた良作だった。
そう言っても全てのラノベが本作をお手本にしたらそれはそれで新鮮味が皆無になるが。
俺ツエ―系の完成型は本作で形を成したということで、同種のアニメはもう必要ないという考えには全く変わりはない。