tag さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
"Do the right thing."「正しきことをせよ」
"Do the right thing."=「正しきことをせよ」
このアニメを見て、最初に思い浮かんだ言葉です。実はこの文言、GEをはじめ、多くのグローバル企業のCode of Conducts(行動規範)に現れる言葉です。少し宗教的な言葉ですが、この表現なら、キリスト教徒もイスラム教徒も、仏教徒も、そして無神論者も肯定的に捉えられるでしょう。
さてさて、この物語、いわゆる「なろう系」の典型とも言えます。主人公最強です。かなり圧倒的ですらあります。物語の展開も容易に見えます。そしてその通りに物語も進みます。ですが、この物語の本質は、ストーリー進行にあります。主人公は、できるだけ無益な殺生を避けます。普通の物語では速攻退場のキャラでさえ、退場させません。主人公は、自分が生み出した平和な世界を気に入っています。なにしろ、そのために、一度、自ら進んで滅したのですから。なので、そこに生きる人びと(普通の物語では悪役であべく魔族も)を肯定的に捉えます。例え、その性根がどうしようもなくとも、この世界を再認識する機会を与えます。ちなみに、最後の、どうしようもない敵キャラに対しても、アニメでは、救いを与えます。原作ではどうか知りません、しかし、主人公は、最後の瞬間、最悪の敵キャラに、家族との絆=救い、を与えます。こうした速攻退場キャラへの扱いは、通常の勧善懲悪物語とは少し違います。
この物語は、ある意味で、すこぶる宗教的です。敵も味方も主要キャラは一人も死にません。みな救いか、もしくは改心しなくとも機会を与えられます。まさに、"Do the right thing."を実現してゆきます。
ええ、臭い演出満載です。ちょっと間違うと、新興宗教礼賛のアジテードアニメと紙一重です。ですが、このアニメがわざとらしい「なろう系」ということが逆に効果的で、新興宗教っぽくならずに済んでいます。そして、「なろう系」であるがために、"Do the right thing."と言う、結構、臭い言葉をストレートに聴衆に訴えかけるのです。多分、新興宗教をこの物語を利用することへの防御となっているようにも思えます。