tao_hiro さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
比企谷八幡は偽物で在り続ける・・・いつまで?
私は2期のレビューで「君が本物が欲しいのであれば、君自身が本物になることだよ」と、主人公の比企谷八幡に語り掛けました。なので、この3期は、彼がいかに”本物”になって行くのかを期待して視聴しました。
ところが、あろうことに比企谷八幡は、”偽物”で在り続けることを選択してしまいました。
11話クライマックス、歩道橋での雪ノ下雪乃とのやり取り、感動的なシーンでしたが、私は大きく落胆しました。そしてクスクス笑いが止まりませんでした。
「お前の人生歪める権利を俺にくれ」
「あなたの人生を、私に下さい」
飾った言葉による告白は、まるでB級恋愛映画のプロポーズのように陳腐に聞こえました。
私が冒頭で述べた”本物”の意味は、「理屈や計算でなく、嘘や誤魔化しでもなく、自分の気持ちを正直に表現しなさい」というつもりでした。簡単に言えば「好き」って素直に言えばよいという事です。
しかし、拗れに拗れた二人の性格は、私の予想というか希望を軽く裏切って行きました。
合同プロムの後、平塚先生に「君の本物は見つかったか?」という問い対してもに、比企谷八幡は「だから、ずっと、疑い続けます。たぶん、俺もあいつも、そう簡単には信じないから」と答えます。
”偽物”のまま結ばれた二人に、未来などあろうはずがありません。この物語の完結の先に破局の予感がして、暗い気分になりました。
ところが!ところがです!直後に奇跡が起こりました!
「あなたが好きよ、比企谷くん」
その瞬間は、少しの緊張を含んでいましたが、限りなくさりげなく、静かに訪れました。雪ノ下雪乃が本物となり、比企谷八幡が本物を手にした瞬間でした。1期のOP「ユキトキ」が流れる中、私の体は震え、涙がこぼれ落ちてきました。
さて、この作品は、ハッピーエンドで完結を迎えましたが、おそらくこの二人はうまくいくはずがありません。一色いろはが看破しています。
「あの二人が長続きするわけないじゃないですか」
私もそう思います。似た者同士は魅かれ合いやすいが、自分の嫌いなところと相手の嫌いなところが重なり合うので、ぶつかり合いやすく、長続きしにくい、という傾向があることを私は知っています。
長続きするのは、案外、性格も趣味も異なるもの同士のような気がします。(この点では、由比ヶ浜結衣エンドの方が安心?できたでしょう。)
そして、何よりも比企谷八幡はいまだに”本物”になっていないからです。
アニメは完結してしまいましたが、Blu-ray&DVDシリーズの初回限定特典に新作文庫小説「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 ‐新‐」が付くそうです。
これには、三年生に進級した彼らの姿が描かれているそうです。はたして比企谷八幡が”本物”になる瞬間は描かれるのでしょうか? いつまでも彼は間違い続け、”偽物”であり続けるのでしょうか? とても気になります。