かがみ さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「本物」とは何か
エヴァの「おめでとう」と「気持ち悪い」を通過したゼロ年代以降のサブカルチャー文化圏はある意味で、異なる物語を生きる他者との関係をどう描くかという「エヴァの命題」に規定されていたと言える。こうした観点からすれば、他者性なき優しい物語に引きこもったのがセカイ系であれば、異なる物語を生きる他者同士が正義を奪いあったのがサヴァイヴ系、他者間のつながりが生み出す「きずな」を描いたのが日常系、他者間のつながりが生み出す「生きづらさ」を描いたのが残念系という、ひとまずのカテゴリー化は可能だろう。そう言った意味で本作は「俺妹」「はがない」と並び、残念系を代表する作品といえる。
この点、アニメ1期の主題が異なる他者と「上手くやる」事であったのに対して、今期の主題は「本物」とは何かである。平穏なグループの友情を維持したい葉山も、経営学用語を振りかざして責任を全体に転嫁しようとする海浜生徒会も、そして現在のお互いに気を使いすぎる奉仕部もつながりが生み出す「生きづらさ」の中で窒息しかけている点では共通する。そんな中で比企ヶ谷は「本物」を求める。おそらくそれは等価交換的コミュニケーションの外部にある、無様に間違う事でしか得られない過剰な何かなのだろう。