ドウ さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
モヤモヤする青春も良し。間違えても良し。
最終回まで観ました。
2013年4月からアニメ第一期が放送され、その後2015年に第二期を経て2020年9月に第三期が終了。物語はめでたく完結を迎えた訳ですが。
あのキャラクター達の物語がこれで終わりだと思うと、寂しい気持ちがありますね。メインの三人以外にも平塚先生、材木座、川崎沙希、戸塚彩加など、愛着の湧いた世界でありキャラクター達でした。
八幡というキャラクターは、恐らく多くが通り過ぎたり妥協したり、個人で勝手に受け止めたりしながら進んでく点を、ある種の歪んだ思考によって噛み砕いていきました。
彼独自の結論を出し、思いもよらない行動をし物事を突破していく凄さがありました。
自分が彼のように1つ1つの物事を噛み砕くような生き方をしたら、恐らくどこかでパンクしてしまうような事を八幡という人間はやってのけていました。
勿論周りの助けもありながらですが、そんな彼だからこそ得たあの結末。あがいてもがいて結果的に素晴らしい青春を謳歌していましたね。
物語は「本物とはなんぞや」という結構哲学的な事にも通ずる事も追求していました。
最後の{netabare} 八幡と雪乃の関係「お互いに様々な感情を抱きながらも相手を大切に思える特別な繋がり」{/netabare}が本物なのか。その他のキャラの生き方や学生生活は本物なのか。
私の今の受け取りとしては、結果「他者との繋がりにおける本物なんて分からないよ」という所にいますね。
突き詰めていくと本物や偽物って結局個の主観で完結する事であって、それを誰かが客観的に結論づけるのは困難だと思います。
八幡や雪乃など本人が結論として「本物」と呼べるものは、「個の中」では本物と言えるでしょう。
ただ例えば相手と「通じ合っている」とか「分かり合える」という事は、実はあくまでも自分の中で思い描いた相手と分かり合えるだけであって。
時に何かに共感したり、感じたり相手の心に近づく事は出来ても、それで相手の心が本質的に分かる訳ではない。
分かるのは「自分の中の相手の心」だけで、本当の意味で相手の心が分かるなど幻想にすぎないと考えれば、
自分の中にある沸き起こる感情などは確かに本物と言えるでしょうけど、他人を巻き込んで関係性が本物かどうかなんて誰にも分からないだろうと。
だから結局八幡は八幡の中で、雪乃は雪乃の中で「本物」といえるものがあるなら、それは「個」としての「本物」で完結するものではありますが。本質的には相手の心など分かるはずもない以上、他者を巻き込んでの関係に対して「本物」とかの答えは出ないもので、突き詰めても分かるはずもないものなのです。
さて、最終回で気になった点の1つに{netabare}結衣の今後というものがありました。
涙を流す程好きな相手が、別の好きな女性とお付き合いしているのを果たして隣で見続けていられるのかなと。
仮に友情という形で3人の関係が続くとしても、その距離は遠くなっていくものであって。八幡と雪乃の関係がどこかで終わりを迎えない限りは、結局結衣の心はどこかで距離をおいて離れてしまうのかなと想像しています。
自分が最終回の結衣の立場だとして、とても親密な繋がりを持った二人とどれ程の距離感でいられるでしょうか。
八幡と雪乃が深く想い合っているからこそ、自分は「好きな人」の傍にはあまりいられないと思いますね。 {/netabare}
作品全体を振り返れば人の深い感情の部分を読み取ったり、生きていて通り過ぎるような所をあえて独自視点で追求していくような所は、とても観ていてモヤモヤしましたがこの作品ならではに楽しめました。
これで終わりと寂しい気もしますが、この作品との出会いをありがとうございました。