Mamo さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
綺麗に締まったと思うが、何処か不完全燃焼な終幕
注意。めっっっちゃ長いです。
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」の完結編である今作、第三期。言いたいことはいくつかあるが、最後まで作品のテーマがブレずに終わって良かったと思います。
気になる点がいくつかあるので順に話していきます。
❶俺たたエンドに思えてしまう八幡の出した答え
恋愛的な意味では、結衣を選ばず雪乃を選び、三人の関係性は変わらずという、これ以上ないハッピーエンドで幕を閉じましたが、陽乃が何度も八幡たちに問うてきた「本物」を探すというこの作品の重要なテーマには、この作品では完全な答えが最後まで出ませんでした。
平塚先生の「これだけ複雑で沢山の感情を一人の人間に想うことが出来たのなら、それは『本物』と呼べるのではないか?」という問いに対して八幡は「わからないですけど、だからこれからもずっと疑い続けます」と応えました……平塚先生が「本物」の解はこうなのではないかと、八幡に提示したにも関わらず、それを跳ね除け、これからも求め続けるという返しはどうなのでしょう。確かに、「本物」を見極めるのは、現実ではかなり厳しいことであるのは間違いないです。ですが、作品のテーマにするからには、物語で主人公たちがそれを追い求めたならば、この作品ならではの、作者なりの一つの解を用意するべきではないでしょうか?
そこら辺が最後まで曖昧だったので、私には「『本物』を求める」という事に関しては、俺たちの戦いはこれからだ! ENDに思えて仕方がないです。個人的に、本件が一番残念に思っています。
❷結衣は八幡にけじめをつけるべきだったのでは?
由比ヶ浜結衣は結局、最後まで八幡に告白一つせずに終りました。理由は分かります。八幡は雪乃が、雪乃は八幡が好きだから。だから私に入る余地は無い。告白して三人の関係に亀裂が入るのであれば、この気持ちを閉じ込めて置くのが最善。……理由は十分に解るのです。彼女はとても賢くて合理的な行動をしています。めちゃくちゃ良い奴ですね。泣けるほどに……。
ですが12話終盤、結衣は八幡と雪乃に「依頼」という形で3人の関係性を保つ事に成功しました。これはあくまで作者視点、いわゆる神様視点での事ですが、物語終盤を執筆していた時、崩れかけた関係性をああいう形で戻す事を最初から考えていたのなら、いっそのこと八幡が雪乃に告白する前に、放課後二人並んでベンチに座った時––––––自分の恋路が確実に叶わぬことを悟ったあの時に、けじめをつけるべきだったと思います。けじめというのは勿論、無理と解っている告白をして、八幡に堂々と振られることです。じゃないと結衣は、ずっと八幡への恋心を形として本人に伝える事がずっと出来ません。これではあまりにも彼女が報われなさすぎです。もし告白して八幡が結衣に負い目を感じたとしても、結衣の依頼で修復できたはずです。
❸八幡の心が微妙にブレているのを感じる
言わずもがな、本編では雪菜を選びました。しかし、八幡は3期中盤に、「俺がもし、十年早く生まれていて、十年早く平塚先生に出会っていたなら、俺は間違いなく平塚先生に惚れていた事だろう」みたいな事を言っていました。台詞は少し違うかもしれませんが。
いや、お前は雪乃の事が好きなんやろがい。雪乃に人生を預けると決めたんでしょ? なに「もしも」の話しとんねん。そういうのはいらんわ。
(ここからまた神様目線でモノを話します)仮にもし、八幡にそういう想いがあったという設定にどうしてもしたかったのなら、物語本編で言うべきではなかったですね。設定資料集や作者のインタビュー、ファンブックで明かすべきだったと思います。少なくとも私は、あの発言により八幡の心情がブレているように感じました。
❹雪乃の心の変化の表し方が少し安直
これは個人差があるでしょうが一応気になったので。
八幡と雪乃が付き合い始めて二人の距離感がガラッと変わったのが一番分かりやすいのは、「奉仕部室での八幡の座り位置」でしょう。あそこは八幡と雪乃の関係の変化がとてもわかりやすくて、控えめに言ってエモエモのエモですね。
しかし、一つ腑に落ちないと思ったのは、「雪乃の喋り方が八幡っぽくなってた」というところです。
結衣の「これってヤバいんじゃないの?」という心配に対して、雪乃は「ええ。ヤバイわ。とてもヤバイわ。全く間に合う気がしない。軽く死ねるわね」と八幡口調で応えていました。
これはおそらく、八幡と雪乃の関係性の変化を解り易く反映させたものだと解釈しましたが、これは流石にやり過ぎかと。人の口癖は自然と変わるものであって、関係の変化ひとつで伝染するものではありません。仮に八幡口調が雪乃に移るのなら、別に第二期時点でも全然良かったと思います。
どうでもいいですけど、もしかして、雪乃の「軽く死ねるわね」の台詞って、中の人ネタで『宇宙よりも遠い場所』の白石結月を意識してますか渡航さん……?(笑)
他にも、「原作ではあったかもしれないが、本作の裏主人公(そう勝手に思ってる)である葉山がもうちょっと物語の本質に介入して欲しかった」などの気になる些事がいくつか脳裏から離れない、といった感じです
ここからは俺ガイルの最後まで良かった点をサクっと言います。
①平塚先生が最高すぎる件
最初から最後まで、八幡の先生として、八幡の導き手としての役目を果たしてくれました。おそらく本作で一番名言を放った人でしょう。世の心理を正鵠に射た、渡航さんの人生観を映したような様々な名言の数々。どれも胸に染みました。マジで歩く国語辞書ってこういう人を指すんだなと。八幡にとっては大恩師でしょう。
②雪ノ下陽乃の人間臭さが最高すぎる件
第二期まで、陽乃が何故あそこまでしつこく八幡たちに試練を与えるのか、その行動原理が掴めずにいましたが、第三期でその意味が明かされました。なるほど……そういうことだったのかあ……第二期まで「嫌なヤツ」という印象から、第三期で「優しいお姉さん」と一気に印象が変わりました。おそらく、今作のキャラクターで一番印象が変わった人だと思います。こういうトリックじみた感じめっちゃ好きです。てか陽乃さんはホント幸せになって下さい……
ほかにも、「『奉仕部最初の依頼と、新・奉仕部最初の依頼が、どちらも結衣からの悩み事』という締めかたが完璧」とか、「小町の総武高校の制服可愛すぎる件」とか、「小町といろはの絡み最高」とか、個人的にポイント高いところもいくつかありますが、まあおそらく皆んな感じてる事だと思うので言及は控えます。
色々ありましたが、彼等彼女等の激動の一年を、こうしてTVアニメとして観ることができて本当に良かったと思いました。
八幡と雪乃よ、いつまでも幸せであれ。
リア充爆発しろーー!!!!