退会済のユーザー さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
やはり俺の作品解釈は間違っている
最後の最後でラブコメになりました。
結局最後まで八幡も雪乃も結も間違ったままです。
でもそれでいいと思うし、そうでなくてはならないのです。
正直に言うと第1話を見て視聴中断してました。ラブコメ主人公気取りの八幡があまりにスカしてて痛々しくてキモくて恥ずかしかったから。しかし当然なのです。この作品はぼっち属性の人間に対して作者はこう伝えたいのです。
「オマエラってこんなに痛くてキモいんだぜ。俺が教えてやるから早く気づけよ」
冗談じゃない。ラノベ作家ごときにそんなこと言われたくねーわ。とか思いつつ当たらずも遠からずなのでググッと一旦飲み込んで落ち着きます。1期2期も楽しませてもらった身としては彼らの出した答えを見届けたい想いもあり視聴再開。気がついたら最終回でした。
早見沙織の黒髪ロングは国宝やら文化財やら何かしらのカテゴリに登録されるべきだという信念のような何か、それが私の中に沸々と沸き起こる感触を確かに感じたような気がしないでもないような。まあそれは冗談としてもあれだけグズグズと煮えきらない屁理屈ばかりこねくり回してきた女子力という言葉とは一生無縁そうな雪の下さんが放ったこの作品の劇中ではなかなかお目にかかれないあまりにド直球、ストライクゾーンまるごとブッ飛ばす異世界級の超威力を備えたシンプルなパワーワードは今後数十年、アニメの名言、名シーン特番において不動の上位を約束されたことだけはこの作品で唯一間違ってない事実であると断言します。
最終回、事後にお目にかかる結の可愛らしさも尋常ではなかった。アレ?間違えたかな?と思わざるを得ないいじらしさとたくましさ。これもしかしたらガハマさんが主役だったんじゃねーの、というくらい一番間違ってる気がする。アレが許容されるなら結局2人は誰からも祝福されてないことになる。
いろはは賑やかしキャラ程度に思ってましたが今期は重要な位置づけでした。そのかわり葉山がわりと空気。先生は前期以上に名言装置。なんか女性っぽさが強調されてましたね。環境が変わることによる準備としての自問自答の中で色々自覚出来てきたのだと思います。先生も自分の人生を切り開く覚悟を決めたのでしょう。
共依存とか強い言葉を使ってますが、この関係が解消されたのは八幡と先生のラインだけ。八幡と雪乃はむしろ強化されてしまった。結も当面の間は間違いを続ける予定。八幡と雪乃の2人だけでは簡単に空中分解していたであろう奉仕部を存続出来たのは結のコネクタースキルあってこそ。結がこの関係を卒業する前にこのバカップルは一山も二山も超えていかねばならないものがあります。でももし何かしらの期日が来たとしても、結は2人を見捨てることはしないでしょう。出会ってからはなんだかんだで自分の世界を拡張出来てきた2人です。今後の人生においてもまだまだめんどくさそうな試練は続くでしょうが、彼らの将来に一抹の不安も感じることはありません。
この作品の中にもう一つメッセージがあることに気づきました。いちいち回りくどい言い回しやわざと詳細を描写せずミステリかのようなミスリードすらあるめんどくさいこの作品。ラノベのラブコメなのに考察サイトまである始末。でも先生はことあるごとに言ってた。メタ的に翻訳するとこう。
オマエラさあ、ラノベごときでいちいち考察サイトとか見てんじゃねーよ。自分で言葉にするのが大事って言っただろ。間違っててもいいんだ。自分自身がどう感じたか、それを自分の力で自分の言葉にする事。それをサボってると死ぬまで間違い続けるぞ。間違えるってのは正解に少しでも近づくために、間違いを少なくするためにやるんだよ。間違えることを恐れてたらオマエの世界はミリも動かないぞ。
って感じですかね。もちろんこれが作者の意図とあってるかなんて知りませんし間違ってるかも。でもそんなのどうでもいいです。「この〇〇はこれを表現しているのであるキリッ」って言い切ってしまえばいいのですよ。
人生は寿命病気などで不意に唐突に終わりを迎えます。人間は皆、例外なく志半ばで人生を終えるのです。だからこそ「本物」をいつまでも追い求める。
「だから、ずっと疑い続けます」
真摯に愚直に問いつづけていくこの姿勢態度生き方こそ、「本物」を探求する者の資格、だと思います。
とりあえずおめでとう、八幡。
でも今からがもっと大変だぜ。
初稿20200925