ぴかちゅう さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
商業的成功を意図したエンタメ作品
たまたま最近、「君の名は」(2回目の視聴)から時を置かずに視聴する機会がありました。エンタメとしては楽しめましたが、とにかく作りが雑な印象を受けました。全体としては、コミカルな前半とシリアスな後半、ヒロインの一時的消滅、ヒロイン救出のために犯罪的行動も厭わない、救出後ヒロインとは会えないが最終盤で再開、など、「君の名は」とのパラレルが多いです。
ただ、作品の前提となる部分で、あまりにも偶然の要素に頼っています。主人公二人の出会い方が完全に偶然、 帆高が住み込みの仕事を見つけるのも偶然(たまたま一度会っただけの人が住み込みのバイトとして雇ってくれるなんてほぼありえないでしょう)、歌舞伎町とはいえ偶然に銃が落ちている、などが挙げられます。また、雑な部分としては、帆高の家出の契機も曖昧で、家出の計画性もほぼゼロな点が挙げられます。
「君の名は」だと、二人は神様に結び付けられた存在として、SF世界観のなかで説明がつくのですが。。。陽菜のバイト先がモスだったらこの作品は成立しなかったというのもどうなのかと。
さらに、自分が惹かれている一人の女性を救うのか、東京の天気を救うのか、という一人の絶対的不幸vs多数のそれなりの幸福という、サンデル先生で出てきそうな哲学的な問いを提示しておきながら、一人の女性を救う方に決めました、という単純な回答しか出てこないのは、うーんという感じです。私自身はその回答に対して否定的ではないのですが、やはりあえてそういった問題を持ち出すのであれば、もう少しクリエイティブな回答がほしいです。
全体的には、「君の名は」の成功に基づいて、商業的な成功を意図したエンタメ作品だと感じました。アニメ業界もニッチな世界ですので、稼げるときに稼いでおく、という考え方は間違っていないと思いますし、大作家だって大衆的な小説を書くこともあるので、こういった作品が出ること自体を否定するつもりはないですが、レビューとしては少し辛口にならざるをえないです。
[2023年12月追記]
完走した作品のみをレビューしているため、とりあえず完走できる質だったということで、これまで、レビュー点数は3.0以上としてきました。しかし、レビュー内容が辛口になっている場合でも3点台をつけているため、他の方の同じ程度の辛口レビューと比べて、点数がかなり高めになっていました。そのため、レビュー点数の下限を2.5点に変更し、この変更に合わせ、このレビューの点数も変更しています。