odeo さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
アニメ4シリーズの中で、最も百合な1期
アニメ全4シーズン視聴済み(原作小説読了)
百合作品の代表として名前のあがることの多い「マリみて」だが、他の百合をテーマとした作品とは一線を画している。
それはこの物語の醍醐味が、恋人ではなく姉妹という関係性にあるからだ。
原作小説の中で祐巳は、弟の祐麒へ「ノーマルを守るのよ。アブノーマルに引き入れられたらだめよ」と忠告するシーンがある。
つまり祐巳は、同性愛に対する理解をあまり持ち合わせていない。だから、祐巳が祥子を慕う気持ちというのは、恋愛感情ではなくて、友愛の範疇にあると考えられる。
他にも、昔は祥子が柏木のことが好きだったことや、令の愛読書が少女小説であることなど、マリみての登場人物達にとっての恋愛対象は、基本的に男性なのである。
だからこそ、この作品における姉妹の関係は美しい。お互いに相手のことを一番に考え、姉が妹を守り、妹が姉を支える。依存度が高いようにも見えるが、スキンシップの描写の最大は、手を繋ぐことや、ハグをするところまで。それ以上の関係を求める姉妹は、登場しない。その絶妙な距離感は、本当に素晴らしいと思う。
前置きが長くなってしまったが、アニメ1期には、佐藤聖の視点で描かれた「白き花びら」が存在する。レビュータイトルで、1期の百合度が最も高いと書いたのはこのためだ。聖は、柏木に関することで「同類はわかる」「両刀だったか」などと発言するシーンがあり、自身のことを同性愛者だと自覚している。
そのため、聖と栞の関係は、姉妹のそれと別物である。栞と1つになることを切望する聖の心情は、私の心に強く響くものがあった。
「マリみて」には、この作品にしかない特有の世界観がある。百合作品というイメージにとらわれず、一度視聴してみて損は無いだろう。