たわし(爆豪) さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
映画館はコロナ渦の中、老若男女問わず満員でした
放火事件から1年経ちましたが、よくあれだけの事件があったのにも関わらずこれだけのクオリティーを保ち続けれたこと。。それは最大限評価できると思います。
あと、今回の京都アニメーションは「オタク」⇒「女性」⇒「一般」という形に変換し、誰が見ても感動できるだけの力があるクオリティの高い仕事だということ、極力アニメ的な表現を排して、「映画」としてのクオリティをあげようとしている点においても今回の「劇場版ヴァイオレットエヴァーガーデン」は京アニ以来の傑作だと言って良いと思います。その証拠に、まあ。。事件の影響もあるでしょうが、客席は満員で、しかもオタク層とは呼べない人までも巻き込むほどの社会現象になっていると思っています。
しかし、
作品の評価というものは事件とは関係なく評価しなければならないと思っています。。
ですので、あえて苦言を呈するのであるならば、演出が少しぎこちなく間延びしていることが挙げられます。これは今までの「TVマンガ」路線から、「聲の形」以降の写実的でシリアスな作風に変えているので、人物の感情の起伏を描けていない。。と感じました。
要はアニメ的な大仰な仕草が描けないので、全体的にのっぺりとした印象が伺えてしまうのと、その分カット割りや構図で見せるというやりかたもあるのですが、まだ人物の表情のアップなどで表現しようとしているので、レイアウト(アニメの設計図みたいなもの)がブラッシュアップされていないので、全体的にただのメロドラマに近い印象を受けました。
現実的な構図を使うのであるならば、サンライズの「カウボーイビバップ」やプロダクションIGの「攻殻機動隊」などの構図の格好良さが欲しいもので、ところどころ格好良く決めいているシーン(夕日をバックに涙をこらえて佇んでいるシーン)はあるのですが、全体的にカット数が少ないので演出が弛んでいるような感じです。
しかし、前述したとおり京都アニメーションの弱点である「TVマンガ」の世界から、一つの「映画」としての完成度の高さが伺えるので、事実上「京都アニメーション」による逆境を乗り越えた最高傑作と言っても過言ではないでしょう。
このコロナ渦の中で、興行成績が期待できる佳作だと思います。