砂粒と嵐 さんの感想・評価
3.1
物語 : 4.5
作画 : 2.0
声優 : 2.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
良いものは本当に良い
今年の5月ごろ、ジャンププラスで漫画を60巻くらい無料公開していたときに、初めてこの国民的超巨大コンテンツであるワンピースを履修しはじめた。
「2年後にシャボンディ諸島」に集まるところぐらいまで読めたので、その先の魚人島編・パンクハザード・ドレスローザをアマプラのアニメで見た。
それまでルフィの手が伸びるということと、チョッパーが「優しさだけじゃ人は救えない」と言われる、というぐらいの知識しかなかったのに、見始めたら他のアニメに一切浮気することなく、暇さえあれば見続けて、もうドハマリしてしまった。
アニメは本当に展開が遅くて、本編始まるまでに「あらすじ」で7分使ったりするし、同じシーンを何百回も回想して流したりするのでその点イライラもしたが、やっぱり声と音楽がついているということや、バトルシーンの演出による迫力を考えるとアニメも素晴らしい。
リアルタイムで見てる人は、「何ヶ月この戦いやってんの?」って感じだっただろうなあ。
でも特にドレスローザ編なんかは、「俺はここで食い止める!お前は先にいけ!」を何重にもやるせいでバトルエリアがいくつにも点在していて、スポットひとつひとつ回してクローズアップしていくうちに、それまでの戦況を忘れてしまう…ということになってしまうからこそ、あんなに何度も回想シーンで復習していたのだろうし、致し方ない描き方なのかもしれない。まとめて見た私の方がイレギュラーな視聴環境なのだ、ということを忘れちゃいけない。
途中から見る人や一週間見逃してしまった人に対する配慮があり、毎週欠かさず見るヘビーユーザーだけをターゲットにしていないのは、国民的アニメならではだと思う。
引き伸ばしの都合もあると思うので、徐々にワンピースファンに近づくにつれて、アニメだけではワンピースを語れないと思うようになり、原作の大事さも理解した。
作画、というか色使いがあんまり良くないし、画面の構図も妙にズームで風景全体を見渡せない(=画面に開放感がない)のが残念だったけど、まあそういうのをワンピに求めるのも違うか、と思うことにした。
劇伴はかなりオーケストラの色味が強く、それが冒険の壮大さとうまくマッチしているが、引き伸ばしで有名なワンピースなので、音楽の展開に合わせて映像がめちゃくちゃゆっくり動いてる、みたいなシーンも多い。音楽の濃さに甘んじてアニメーションを怠っているというか。
巨大船ノアにしろ、シノクニにしろ、鳥籠にしろ、ラスボス戦の途中で島全体の危機がやってきてめちゃくちゃになる…という展開はぜんぶ同じ。島民たちをときめかせつつ裏切りつつ巻き込んでいく過程もだいたい同じ。
魚人島のネプチューン王ももドレスローザのリク王も、どちらもちゃんとした美学をもっている王様。「王とは」みたいな帝王学的な思想へのベクトルを感じる。
最も強い存在を目指すゾロと最も自由な存在を目指すルフィの対比も顕著。
ワンピース、とか海賊王、というのは物語が進んでいくためのマクガフィンに過ぎないので、その中身はなんだっていい。昔からの冒険譚とか、絵巻物語を見ている楽しさみたいなものを感じる。
☆魚人島
人種差別の構造と悲劇、異種の共存をテーマにした社会的な章。とにかくルフィたちが出てこない魚人島の歴史パートがめちゃくちゃ面白かった。フィッシャー・タイガーのような戦い方と、オトヒメのような戦い方、それぞれに救われた人がいるし、それぞれに難しさもある。そして、そのどちらもが「どうか怒りを受け継がないように…」という結末に至る。なぜなら怒りが自動的に受け継がれてしまったがために生まれたのが魚人街でありホーディのようなモンスターだから。
☆パンクハザード
黒長コートのイキりまくりトラファルガーに惚れた章であり、たしぎちゃんの可愛さが爆発した章だった。たしぎちゃん、ちょっといかがわしいほど可愛かった。海賊が主人公である時点で不真面目が正義みたいな風潮のあるワンピース世界だけど、そんな中で愚直にひたむきにまっすぐなたしぎちゃんの、危ういくらい穢れなき純白さ…尊すぎる。そしてロー、マジであいつは喧嘩を売りすぎだ。ルフィの「すたすたすた」って足音と対象的な「トゥン…トゥン…」っていう足音、もはや足音だけでイキってる。だがしかしそこが可愛い。敵を欺き窮地でどんでん返しする戦闘スタイルにはシンプルに惚れちゃう。
あとはひたすら、ガスガスの奴がめちゃくちゃ性根腐ってて胸糞悪く、戦闘も目に見えないなぞのガスとか毒による攻撃ばかりでひたすらストレスが溜まったし、ラストでルフィのクソデカ拳でぶっとばしてくれてスッキリした、みたいな印象だった。
チョッパーの医師としての活躍シーンがあったのは嬉しい。
☆ドレスローザ
前半のコリーダコロシアムの退屈さは異常だった、もうほんとに見るのやめたくなったが、あれは最後のあの感動を味わうために必要な過程だった。我慢してよかった。
そして私、トラファルガーローに完堕ち。ドレスローザのヒロインはローだ。
ドフラミンゴの強い感情もコラソンの愛も何度も考察を啜って今もなお楽しませてもらってる。咀嚼しきれていない。一番好きな章。これからもたくさん考えていきたい章
ゾウとHCIは単行本で履修して、今もなお、ワノ国編楽しんで見ている。