P_CUP さんの感想・評価
4.8
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
彼女は、そこに居た
ポエムだ、当然のことながら
{netabare}
どこまでもまっすぐに続く暗い道に響く足音は、或いは時を刻む音にも聞こえる
そんな場面から物語は紐解かれる
そして最後に、再びこの暗い道が現れ、振り向くことなく歩むヴァイオレットを一瞬で追い越して、物語は閉じられる
彼女がその四苦八苦の中で歩んだ人生も、大きな時の流れの中では取るに足らない一瞬の出来事で、
ただ、いち離島でのみ発行される切手の中に、ささやかな足跡を残しただけだった
それでも、彼女は確かにそこに居た
人の想いは、時代とともに薄れたとしても決して消えることはなく、
遺したものは、数十年後の誰かの心を響かせることもある
冒頭と終局に現れるこのモチーフが、或いは物語の外枠が未来の時代を生きるデイジー・マグノリアに託されることが伝えていることは、おそらくそういうことだろう
それは、諸行無常のこの世に向けた、作り手たちの祈りなのかもしれない
{/netabare}