Mocchiriさん さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
美しいという言葉が一番しっくりくる
気持ちをことばにしてしっかりと相手に伝えるということがいかに尊いことか、改めて考えさせられた。
その気持ちが、前向きなものであることも、後ろ向きなものであることもある。後者の場合でも、押さえ込もうとしていた自分自身と向き合うために必要な‘言語化’なのだと、この作品は言ってる気がした。
少佐は、少佐の記憶の中にいる幼いヴァイオレットのことしか見ていない。そして自分がそのとき彼女にしてあげられなかったことを後悔し、幼い彼女への罪悪感に苦しめられている。だけど、「今ここ」にいるヴァイオレットに対してその罪悪感が現実として結びついておらず、再び彼女を傷つけてしまう。それは、ギルベルトが自分自身にしかベクトルを向けられていないから。
自分の存在自体が、愛する人を苦しめていると、そう悟ったときのヴァイオレットの気持ちを思うと苦しくて苦しくて涙が出た。だけど、そこから一歩踏み出そうと決断をすることができたのは、彼女がいろんな人と関わり支え合いながら「自分」を成長させてきた証なのだろう。ギルベルトは彼女のその成長を目の当たりにして、自分自身が過去の自らの呪いから抜け出せていないことにようやく気付いたのではないだろうか。
とにかく映像が美しい。キャラの表情も豊かで、声の演技も切なく温かい。美しいものを全部詰め込んだ、どの切り口で切っても琴線に触れてくるような、作品。見終えたあと、なんだか遠くに旅に行っていたような、ボーッとした余韻に包まれるような、心地よさがある。