ようす さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
「偶然じゃない。君が今までしてきた選択と、私が今までしてきた選択が、私達を会わせたの。」
小説が原作で、2018年に公開されたアニメ映画。
アニメの前は実写映画もやっていましたね。
私はどれも見ていなかったので、
アニメが初見です。
NHKで放送されただけあって、
考えさせられる内容でした。
100分ほどの作品です。
● ストーリー
「僕」が偶然病院で拾った本。
そこには膵臓の病気で自分はもうすぐ死ぬのだと書かれていた。
その本の持ち主は、
クラスメイトの山内桜良(やまうち さくら)。
桜良は病気の事をクラスメイトの誰にも話していなかったが、
本を読んでも動じない「僕」に興味を持つ。
「僕」はクラスの誰とも関わりを持たない男の子であり、
桜良は明るく活発な女の子。
真逆な二人だが、
「僕」は、桜良が死ぬ前にやりたいことに付き合うことになる。
桜良の死は、
最初から約束されてしまったもの。
人と関わることをあきらめていた彼が、
余命1年という残された時間と向き合い、
前向きに普通に生きようとする彼女と共に過ごすうちに変わっていく。
そんな二人の物語が、
きれいに綴られていました。
公開時それほど話題にならなかったので、
いまいちなのかな?と思っていましたが、
きれいにまとまっていて、
良い作品だと思いました^^
絵もきれいだったし♪
人の病気や死という描写は感情を揺さぶられて当然ですが、
そこに頼り切っているという印象もありませんでした。
残された時間をどう生きるのか、よりも、
人と人との関わりについて教えてくれる雰囲気の方が強かったと思います。
タイプが真逆だからこそ、
初めて見える自分がくっきりする。
「僕」は、クラスで誰とも関わりを持たない、目立たない存在で、
イケメンだから成り立つ物語だろうと思わなくもないですが(笑)、
彼女の明るいキャラだけでも十分魅力的でした♪
≪ 恋愛でも友情でもない、男女の物語 ≫
年頃の男女が放課後も休みの日も一緒に行動する。
となれば、クラスメイト達のように彼氏彼女のような関係を想像しますが、
この二人はお互いに惹かれはしているものの、
そういうものとはまた別の、不思議な関係。
「僕」にとっては、家族以外で初めて関わりを持った存在。
桜良にとっては病気のことを知りながらも普通に接してくれる存在。
彼女の思わせぶりな態度はちょっとやりすぎで、
「僕」がイライラするのもわかる。都合の良い男のようだもの。
だけど桜良の、普段は表に出さなかった気持ちを考えると、
桜良が求めていたもののひとつに“ぬくもり”があったから、
彼氏としての「僕」を求めていたわけではなく、
安心感を与えてくれる「僕」を求めていたのだろうなと、
思ったりもします。
年頃の男女の関係としては疑問が残らなくもないですが、
こういう友情とかを超えた、特別な関係も悪くないなと思います^^
● キャラクター
主人公の二人も良かったのですが、
私が強く印象に残ったのは、それぞれの母親です。
桜良の母親は、
娘の病気を当然知っていて、もうすぐ死ぬことをわかっていて。
娘の前で涙を見せまいと振る舞う姿が、
強いなあと(´;ω;`)
自分の娘が余命1年とわかっていて、
これまで通りに接することができるわけないですよね。
それでも桜良の母親は覚悟をし、
娘に心配させまいとする姿に胸を打たれました。
「僕」の母親は、彼の些細な変化もちゃんとわかっていて、見守る。
「友だちがいる」という嘘も見抜きながらも、
彼の変化に問いただすこともせず、
良い変化には探りを入れて。笑
見守り、さらっと声をかけるのが、
いい母親だなあと思いましたよ。
● 音楽
【 OP「ファンファーレ」/ sumika 】
【 挿入歌「秘密」/ sumika 】
【 主題歌「春夏秋冬」/ sumika 】
全曲をsumikaが担当しています。
もともとsumikaが大好きな私得な映画なのです(*´Д`)
曲は作品を観る前からずっと聴いていました。
「ファンファーレ」が大好きでした。
正直「春夏秋冬」はそれほどハマっていなかったのですが、
この作品を見て印象がガラッと変わりましたね。
エンドロールで流れる「春夏秋冬」。
なにこのハマり曲…!余韻半端ない…ずっと聴いていたい…。
ボーカルの片岡さんがこの作品と向き合い続けて、
ようやく完成したという曲。
この作品を見て、
この作品で聴かないとその魅力はわからないわけですよ。
ちなみにsumikaのメンバーの皆さんは、
作中でちらっと声優登場しています♪
どの役なのか調べずに見ていたら全然わからないぐらい、
溶け込んでいました^^
● まとめ
友人は「伝わるものがなかった」と評価していましたが、
私は良い作品だと感じました。
どの作品でもそうですが、
メッセージがない作品を良い作品だと思うはずがない。
この作品は鍵となるメッセージはあっても、
明確でインパクトの強いものがあるわけではないので、
自分でメッセージや意味を考えるタイプの作品なのでしょう。
二人の過ごした時間から何を得るかは、
受け止める人次第なのかもしれませんね。