テナ さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
沢山の気持ちが伝わる1作
一応ガチネタバレ仕様になっていますのでお気を付けてください。
ネタバレなしで書くのがいいのかもしれませんが私ではネタバレなしで描くと感想らしない感想になりますのでネタバレしないレベルで最初に書きます。
以下、下は超ネタバレになります。
この劇場版を心待ちにして居た人は多いのではないでしょうか?
先に言っておきます。
マジで泣けます。
私なんて劇場でヒクヒク言ってたし涙流しました。
↑上ネタバレ無し(まだ戻れる)
↓下超ネタバレ有り(もう戻れない)
アニメからの要素も踏んだに使われています。
電話など通信手段が当たり前に普及した未来から始まります。
この時代には既にドールとしてのお仕事はないそうで、そんな時代に産まれた少女目線で物語が始まります。
実は彼女は昔ヴァイオレットが仕事で関わった少女のお孫さんだったりします。
ここからヴァイオレット目線に切り替わります。
ヴァイオレットはやはり少佐が居ない日々を受け入れられず何処かで生きていてくれたらと願っています。
どことなく元気がなくお仕事で寂しさを間際らせている様にも見えました。
そんなある日、病気と闘病する少年からヴァイオレットは依頼を受けます。
彼は自分の死期を悟って居て3通の手紙を残したいと言います。
父、母、弟への3通…
後に彼は4通目の手紙を贈りたいと言います。
それは友達にでした。
彼は自分の闘病する姿…変わり果てた姿を見て欲しくなくて拒絶してしまいます。
家族への手紙を書こうとした少年が死期を感じても拒絶する。
本当なら会って話したいと思ってしまうと思います。
だから、多分理由は変わり果てた姿だけではなく心配させたくない、必ず治して会おう、などの気持ちもあったのではないでしょうか?
そして、やはり拒絶していた分会いたいの言葉が出なかったのか…
ヴァイオレットは伝えます。
伝えられる時に伝えた方が良いと。
私はこのシーンのセリフが凄く刺さりました。
本当に伝えたい事は伝えないと伝えられなくなった時に後悔するからです。
だから、彼女のこのセリフで涙が出てしまいました。
さて、お話しを戻します。
少年は4通目の手紙を書く前に体調を崩してしまいます。
後日手紙を書く事にするのですが。
クラウディア社長が倉庫で一通の手紙を発見します。
それは普段の手紙なのですが、気になるのは字…見覚えのある字…それは少佐の字。
この話しを聞いたヴァイオレットは泣いていました。
周りから死んだ死んだと言われても信じ続けた男が生きているかもしれないのですから。
ヴァイオレットにとっては特に特別な存在。
彼女はそれを聞き少佐の住む島へと行くのですが…彼女は会ってもらえませんでした。
そこには少佐なりの理由がありました。
自分が戦場に巻き込んで両腕を失わせてしまった…彼女を普通の少女ではなく彼女に兵器だと言わせた事を気に病んでいました。
少佐の気持ちも理解出来なくはいのです。
そこにどんな理由があろうと、彼女を戦場に立たせて沢山の命を奪わせ…両腕を失わせてしまった…もしも私が少佐の立場ならやっぱり悩んでしまうと思います……
ただ、少佐も本当は会いたかったはずなんです。
ヴァイオレットはそれでも会いたくてドアを叩きます。
ヴァイオレットの言葉に答えてはくれない少佐
…それでも言葉を掛けるのを辞めない。
何故なら、ヴァイオレットにとっては特別だから…自分に会いたくないと言われてもそんな言葉じゃその気持ちは変わらない。
そんな中、少佐は返答をしますが、これがまた辛い返答なんです。
言った返答は少佐もきっと苦しかったと思いますが一番辛いのはヴァイオレットでしょう。
「愛している」を知り気持ちを知ったヴァイオレットだから解る少佐の気持ち。
自分が少佐の重荷になっているのだと感じます。
彼女は堪らず、その場所から飛び出してします…
クラウディア社長の放った大馬鹿野郎!は響きました。
ヴァイオレットは重りにはなりたくなかったんです。
確かに戦場に出たし人の命を多く奪ったし両腕も無くしてしまいました。
それでも、少佐との思い出はそれだけじゃなくて、文字を教えて貰えた事やプレゼントを貰った事、手を繋いだ事、優しくして貰えた事、助けて貰えた事。
少佐といる事は重しではなくて、楽しい日々の方が心に沢山あって、その気持ちのほうが大きくて感謝しかなくて…
でも、少佐には逆の戦場での日々と後悔が根付いていた…多分、それが一番辛かったのかな?と思いました。
その日に宿ではヴァイオレットは放心状態でした。
目が少佐を失ったあの日の目でした。
そんな中、連絡がはいります。
冒頭に出た3通の手紙の少年が危篤だと。
ヴァイオレットはそれを聞いて慌てて帰ろうとするのです。
彼女は本当に凄いです。
自分が一番辛くても、仕事を優先させてまだ完成していない少年の4枚目の手紙を完成させようと嵐の中を帰ろうとするのです。
そして、危篤の少年を心配し涙を流します。
自分の辛い時に人の心配を出来る彼女は本当に優しく責任感が強いのでしょう。
そうした気持ちだって少佐がきっかけをくれたのかもしれません。
そこからシーンは病院へと切り替わります。
迎えないヴァイオレットの代わりに代筆する為に代理でベネディクトとアイリスが病院へ向かいます。
彼はヴァイオレットの代理のアイリスに尋ねると「愛している」を教えてくれた人の元に行っていると聞き「良かった」と言っていました。
凄く気にしてたのでしょうね。
ですが、少年にはすでに代筆出来る程の元気はなかったのです
そこで、友達と電話で話せる様にセッティングさてくれたのです。
このセッティングも軽く流れるシーンなんですが必至さが伝わる凄い表現力です。
音と絵でここまで場の深刻さを表現できるのかと驚かされました。
この最後の電話もマジ泣ける。
そして、家族に渡す3通の手紙を手元に。
そのお返事をベッドに横になってる兄に弟がお返事をするんですが、返答される訳もなくこのシーンも泣けました。
弟はきっと小さいけど全て解ってる。
返答もない事もそれでも嬉しいからどうしても自分の気持ちを伝えたかったのでしょう。
一方、ヴァイオレットは少佐に会う事を辞めて帰る決意をします。
ただ。最後に手紙を出します。
人の気持ちを代筆してして来た彼女が次はお仕事ではなく、誰の為ではなく、自分の為に、人の気持ちを映し出すのではなく、自分の気持ちを映し出す精一杯を書き綴った手紙。
少佐への感謝と別れとヴァイオレットの気持ちの手紙。
それを読んだ少佐は走り出す。
ヴァイオレットを乗せた船は出航してしまったそれでも少佐は走る。
これを逃したら謝れない、本音をぶつけてくれたヴァイオレットの気持ちに応えたい、自分の気持ちを伝えたいから、強く地面を蹴り息を切らし彼は走る全力で!
そして、叫ぶ!彼女に聞こえるように残った体力を限界まで振り絞り。
ヴァイオレットの耳に響いた少佐の声を彼女は聞き逃さない船の甲板を走り出し海へと飛び込む…目一杯の涙を目に浮かべ並みに何度涙を飲まれようと彼女は涙がする。
目の前にいる少佐は数年ぶりで、やっと気持ちに素直になってくれた。
自分を受け入れてくれた。
全てが嬉しくて涙が止まらない。
そんな彼女を迎えに少佐も海に入り彼女と言葉を交わした抱きしめる。
ずっとしたくても出来なかった…もっと早くこうしてあげたかったけど出来なかった…手を伸ばせば簡単に出来たのにギリギリになるまでしてあげられなかった。
冒頭の少女はヴァイオレットのその後を調べるのですが、ヴァイオレットは幸せに暮らせたみたいですね。
彼女はきっと少佐と暮らしドールとして最後まで真っ当したのでしょう。
ただ、クラウディア社長は寂しそうでしたね。
本当の娘の様にお世話をしてきたので当然でしょうけどね。
ED後のヴァイオレットと少佐の指切りシーンは凄く良かったですね。
かなり印象鮮やかに描かれていました。
素敵な1シーンでした♪
実際に泣ける事は想定内で見に行きましたが、ここまで全力で何回も何回も泣かせにくるとは思いませんでした。
何に泣けるってクライマックスだからとかだけではなくて。
キャラの心情を絵や音にセリフにBGMを上手く組み合わせ伝えてくるんです。
どのアニメもよく考えられて作られていますがヴァイオレットに関してはキャラ一人一人の感情の伝え方や表現力が本当に解りやすく伝わる。
だから何気ない1シーンから重要な1シーンまで沢山の感情が伝わりやすいと思います。
その結果が1本で5〜6回泣きました。
涙を拭って止まるくらいにまた泣かせにくらいのレベルです。
本当にいい映画になりましたね。
何度でもみたいですね。